いや~、暑い!暑くなって来ましたバルセロナ!気温は26度となっていますが、ピッチ上は30度をゆうに超えるでしょう。
この日は、KAZUKIがテストを受けているEUROPAが敵地での強豪DAMMとの親善試合に臨みます。試合は、総合力ではDAMM。一人一人の個人技が巧みで、チームとしての繋ぎも巧み。ボールを失ってからの攻守の切り替えも速く、エウロパはなかなかボールを前に運ぶことが出来ません。後ろではしっかりと繋げるものの、ボランチから先、相手の圧力が激しくなる所で、ボールを奪われ、ダムにショートカウンターを仕掛けられる事もしばしば。中盤の構成力と個の技術で上回るダムが、完全に主導権を握ります。
3-1で折り返した後半、KAZUKIが1-4-2-3-1の1トップで登場します。果敢に大声を張り上げてボールを呼び込むKAZUKI。しかし、彼への縦へ入るボールは、2人のセンターフォワードに狙われていて、なかなかKAZUKIはボールを収める事が出来ません。フィジカルの勝負では決して見劣りしないものの、相手センターフォワードも屈強で、何度かファールをもらうのが精一杯。
そんな中、KAZUKIが倒され、ゴール前30mの位置でフリーキックのチャンスを得ます。ボールをセットしたのはエウロパの22番。そこへ、KAZUKIがにじり寄って行きます。「俺に蹴らせてくれ!」彼の強い主張に、22番の彼は、KAZUKIにキッカーを譲ります。
結果は、壁に当たるも、ハンドの判定で、更に10m近づいた所で更にフリーキック。ここでも、KAZUKIは譲る事無く、キッカーを主張、22番も蹴りたそうにしていたものの、再びKAZUKIにキッカーを譲ります。そして渾身込めて蹴り込まれたシュートは、しかし、ゴール左に外れて行きます。
その後も、「ヴァーヴァーヴァーヴァー!(行こうぜ!行こうぜ!行こうぜ!行こうぜ!」と手を叩きながらチームを鼓舞するKAZUKI。
一方、なかなか1トップとして機能出来ないKAZUKI。プレッシャーが厳しい中、ファーストタッチの精度、相手の嫌がる所に入って行くポジショニングなど、課題は多し。しかし、とにかく粘り強くプレーし、相手をチェイスし、球際で奮闘する姿は、非常に好感が持てます。彼に、「Sangre(闘う血)が足りない」と言う言葉は、無縁のようです。
ディフェンスラインの裏への飛び出しを果敢に狙うKAZUKI。が、中盤を制されている為、彼の求めるボールはなかなか来ません。
すると、監督はKAZUKIを左サイドへシフトします。
そんな中、ダムのバックパスをGKが手で掴んでしまい、願っても無いチャンスが訪れます。15mの位置からの間接フリーキック。ボールの正面にエウロパの選手が3人立ち、何やらひそひそとやっています。その内の一人がKAZUKI。作戦が決まったのか、3人が体制を整えると、味方がちょこりと触ったボールに飛び込んだのはKAZUKI。そして、渾身込めたシュートは、飛んだ壁の下をくぐり抜け、ゴーーーーーーーール!!!
3-2、一点差に迫るゴールは、今回のKAZUKIにとっても初ゴールとなりました。
試合は、その後、DAMMが1点、2点と取って、5-2と再び突き放されます。
その後、さらにDAMMが攻勢となる中、KAZUKIは自陣深くの左サイドで激しくチャージし、ボールを奪います。完全に引いていたチームは、前に味方がいません。相手の厳しいチャージをするりと縦への突破ですり抜けると、センターライン付近で襲って来た左センターバックのチャージを間一髪のところでスピードですり抜け、そこからは独走。味方も敵も追いつけない中、左サイドを疾走したKAZUKIは、ペナルティーエリアに入ったところで飛び出して来たGKの足元を右足のトーキックでボールを突き、それがゴール右隅に吸い込まれます。
ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーール!!!
ただただ唖然。およそ70mのスピードを活かしての強引なドリブル突破からのシュート。これは、泥臭いながらも、ある意味豪快なゴラッソ(スーパーゴール)と形容していいでしょう!
良い位置に味方がいないと見るや、あそこの位置から一人で行ってしまおうと言う発想には、やや度胆を抜かれました。
応援に来ていたYASUKAZU、GINPEI、KOIは声を揃って、「KAZUKI、あのプレーはエグイ!(笑)」
周囲が騒然となる中、KAZUKIは笑顔一つ見せず、DAMMゴールからボールを掴み取り、センターサークルまでボールを運び置きます。エウロパの誰もが試合の結果を半ば諦めている中、彼はまだまだ諦めていません。
まるで、既にチームの中核的な存在感を放っています。
がしかし、彼の奮闘も空しく、試合は5-3で敗れる結果となりました。
でも、この日の奮闘ぶりは、彼の居場所探しに大きく寄与した事は間違いありません。
「70mドリブル!?なんか一杯一杯で、あまりあの場面は覚えていません。負けていたので、何とかしなきゃってずっと考えていました。」と試合後のKAZUKI。
まだまだ、改善するべき点は多いのも事実。しかし、この日の試合では、はっきりと、KAZUKIの武器も確認出来た試合となりました。