7月14日(月)今日も快晴
さぁ、今日から本格的にキャンプスタートです。
8時に起床した子供たちは、9時20分から遅めの朝食を取り、そして、10時30分から午前の練習がスタートです。グループは昨日と同様に4つに分かれ、4種類のメニューをおよそ20分間隔でローテーションしていきます。その中の一つは枠の中で全員がボールを持って、自分のボールを守りながら、相手のボールを枠の外に蹴りだして行くというもの。練習が始まると、コーチの一人ジョルディが「KEITA!(私の名前です)」と呼ぶので言って見ると、KOSHIROが泣いています。「どうした!?」と聞いても暫くはシクシクと泣いて何も話さないKOSHIRO。ジョルディに聞いても理由が分からないと言います。「どうした!?どっか痛めたか!?」(首を振るKOSHIRO)「じゃぁどうした!?泣いている理由を話してみ」怪我した様子は無かったので、ふと、「直ぐボールを蹴りだされて悔しかったのか!?」と聞くと、泣きながら僅かに頷くKOSHIRO。そうです、彼はゲームスタートと同時に自分のボールを蹴りだされ、負けた悔しさで泣き出していたのです。なかなかどうして、負けず嫌いじゃないですかぁ。KOSHIRO、上手くなる為に、君のその性格は必ず役に立つはずだ!
その他、ドリブル競争やリフティングなどのメニューをこなし、給水タイム。昨日の初日に練習で、1回の練習が1時間半程の短いものだということを知った彼らは、1つの1つの練習に心なしか気持ちが入っていたように思います。
その後、ドリブル、パス、ダッシュ、シュートの一連の動作を競争という要素の中で白熱させる練習や、フィールドを大きく使ってのセンターリングシュートの練習などを行いました。そして、ここでまた涙を見せた者が。そう、KOSHIROです。今度は上記の競争の中で、最後ダッシュして早くボールに辿り着いた者がシュートを打てるという練習で、コーンを回り込んでほぼ互角の状態で相手と共にボールに辿り着いたKOSHIROが、2歳年上の体格の良いスペイン人の少年と交錯。その接触プレーで膝を打ちつけ、うずくまって泣き出したのです。結果はちょっとした打撲で、それ程痛みは無かったようですが、競り合いの中で負けた悔しさが再び涙腺を開放したようでした。「どうする!?少し休んでいるか!?」KOSHIRO「やりたい」う~ん、君は頼もしい!
1時間半の練習はあっという間に終了。皆、まだまだやれるよという雰囲気。そして、皆口を揃えて「え~、試合ないのぉ~」
その後に念願だったプールに入って皆キャッキャ、キャッキャと遊び、それから昼食。そして昼休み。
17時のおやつの時間を挟み、18時から午後の練習です。
そして、それは皆が待ちに待った紅白戦でした。
昨日の移動の列車の中で、「良い選手って、どんな選手だと思う!?」と聞いたとき、「ドリブルが上手い選手」「コーラー飲まない選手」「周りを良く見れる選手」という答えが返ってきました。皆具体的で、そして間違いでは無いのですが、私は「試合で活躍出来る選手。試合で良いプレーが出来る選手」と答えました。子供たちにとっては抽象的でひょっとしたら分かり辛いかもしれませんが、今後の練習の布石として、敢えてこの表現を使いました。
サッカーには色んな練習メニューがありますが、全ての練習には意味があります。しかし、究極の目的であり、最終地点は試合です。試合で良いプレーすることこそが、一番のサッカーの醍醐味だと思います。真剣に戦ってくる対戦相手がいて、必死に戦ってくる相手がいて、その中で自分のプレー、自分たちのプレーがどこまで出来るか、相手に通用するかが試合のポイントとなります。そして、全ての練習はこの問題を紐解いていく形でリンクしていなければなりません。プレッシャーの掛からない状態でダラダラとボールコントロールしてシュートを打てる場面は試合にはありません。今回のキャンプでは、そういう部分を少しでも体で感じ、今後の練習での意識改善に繋げて行って欲しいと思っています。(もちろん、まだ少年の段階なので、ボールを蹴る、コントロールするという基本的な部分をトレーニングする為の基礎反復練習は必要ですが)
さて、前置きが長くなりましたが、とにかく今回皆には「リフティングを1万回出来るやつよりも、練習でシュートやドリブルが上手いやつよりも、試合で活躍出来るやつが良い選手」と言い聞かせています。これを皆がどう解釈し、どう試合で表現するかが見ものです。自分の何が試合で通用し、何が足りないのか。これからどういう要素を練習し、どういう要素を伸ばしていくべきなのか。皆が自分自身で感じ取って欲しいと思います。
またまた前置きが長くなりましたが。最後に皆の試合での奮闘振りをここに記したいと思います。そうそう、一つ言い忘れましたが、「今日の試合で2点以上決めたやつにはアイスをおごってあげよう」とニンジンを吊るして置きました。
KOSHIRO:8歳9歳に混ざってややフィジカル面で不利な7歳のKOSHIRO。最初はなかなかパスをもらえず(パスをもらえるような良いポジション取りをしていない)、ボールを持ってはドリブルで突っかけ、奪われるという一人相撲が続いていましたが、徐々にそんな環境の中、良いポジションにいる見方をドリブルしながら見つけ、パスを出すように。すると面白いことに、それまで引っかかっていたドリブルやフェイントも決まりだし、後半は何度も得点に絡むプレーぶりで計3ゴール、見事アイス獲得です!
KOSHIRO「最初は上手くいかなかったけど、だんだん上手く出来るようになって面白くなってきた」と本人の談。
RYUYA:この日一番の評価をコーチ陣から受けていたのがRYUYA。KOSHIROと同じチームだったチーム・ベルデのまさに攻撃のタクトを握ったのがRYUYAでした。中盤で相手のボールをカットし、ドリブルで持ち込んだり、スペースにいる見方へパス。見方も攻撃に詰ると全てトップ下のRYUYAを経由するという形で、ピッチ上での存在感は抜群でした。結果は3得点3アシストでしたが、コーチ陣が「いいねぇ」と唸る程、キレキレぶりを発揮していました。ちなみにKOSHIROとRYUYAのチーム・ベルデは4試合全勝。2人の満足度が一番高かったことは言うまでもありません。
「RYUYA、今日の調子はどうだった!?」「最高」と一言。
TAKUYA:とにかく足には自信を見せるTAKUYA。ピッチ上ではボーとしていて、試合の流れに集中していないような場面が多々見られるものの、スイッチがオンになると、特にスペースにボールが出て、競争というシチュエーションになった時に、突然好反応を見せた。今後は得意のパターンに磨きを掛ける為に、ボールの貰い方や、見方のパスをより良い位置で受ける為のフリーランニングを見に付けたいところ。そして、フェイントやドリブルを特訓したい。自信のあるプレーとそうでないプレーの波を小さくすれば、もっと良くなるはず。「まぁまぁかな」と淡々とした答えをしたTAKUYAだが、ゴール2つのゲームで得意技を連発し、10得点をゲット。文句なしのアイス獲得。
YURI:ドリブル好きのYURI。一人でガンガン行く頼もしさが良く働く時もあれば、より良いポジションにもっとシンプルに叩いた方が良い場面には、少し無謀に映ることも。しかしながら遠慮がちにプレーするよりも遥かに頼もしい。そして、きっちりと守備に戻って全体のバランスを見ていた行動には好感が持てた。重いシュートを持っているYURIはまたシュート好き。しかし、相手が完全にシュートコースを消している場面でのシュートは頂けない。そこから再びやり直せる余裕を持ちたい。「何点決めたか忘れたけど、結構決めたよ」というYURI。これまた2つゴールゲームで奮闘し、見事アイスゲットです。
YOSHIKI:この日、一番気持ちの強さを見せたのはYOSHIKI。見方の戻りが遅いと、「植松さん、戻れってスペイン語で何ていうの!?」と聞いて来て、それを守備時に反応の悪いチームメートに伝えていました。左利きのYOSHIKIは、左足に自信を持っており、左サイドを駆け上がってセンターリングやシュートなど、自分のプレーを存分に出していました。左サイドの守備にも奔走し、チーム内で存在感を示していました。しかし、今日はチームとしてはなかなか勝てず、やや欲求不満の募る展開だったかもしれません。あと、左に頼り過ぎるあまり、右を大の苦手にしている様子。右もそれなりになれば、プレーの幅が一気に広がるはず。いずれにせよ、アイス権は獲得です。
TAIKI:TAIKIはバランス良く全てを無難にこなせる選手。フィジカルもあり、俊敏性もあり、ボールをキープすることも出来、周囲を良く見れる。大きなミスをせず、高確率でチームにとって効果的なプレーが出来る選手。そして、精力的に動き、攻守に貢献する。そんな彼も本人が「数えられない」という程、5vs5のミニゲームスタイルで得点を量産。周囲に良い選手という印象を与えました。欲を言えば、もっと声を出して、もっとパスをもらう場面でボールを呼び込んで欲しい。そうすれば、さらにゴール出来たはず。そして、ボールを持ったら、パスをまず第一に考えているようだが、もっと1対1で仕掛けるなどの積極性を出して、とことん自分を磨いて行って欲しい。
というわけで、今日の皆の活躍、奮闘ぶりには十分に満足出来るものがありました。これからは、より試合で活躍する為に、持ち味を伸ばし、課題を感じ取り、そしてそれを克服して行って欲しいと思います。明日は皆アイスでご褒美です!
by 植松 慶太
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