5月25~29日
さぁ、いよいよ1ヶ月に渡るSHOUKEIの挑戦の最後の一週間のスタートです。
“どうよ、SHOUKEI、もうあと1週間切ったけど。
SHOUKEI「早過ぎる。」
“スペインでフットボールを続けたい気持ちは何パーセントなの!?」
「100%」
“お母さんや妹と離れて暮らす事になっても我慢出来るの!?”
「うん!」
“スペイン語頑張ってマスター出来るかい!?”
「頑張る!」
“地元の学校行ったら、最初はスペイン語でちんぷんかんぷんだろうから、遅れを取らない為にも予習復習、勉強面でも頑張れるかい!?”
「うん!」
SHOUKEIは、すっかりこちらの、特にフットボールを取り巻く環境が気に入ったようで、
その思いは真剣なようです。
ところが、ここでハプニングが起こりました。
それは、Europaでのトライアウトをコーディネートしてくれていたクラブ側の関係者が人事のもつれでクラブを去ることになってしまったのです。AlevinAの一週間で“難しい”と判断されたSHOUKEIは、最後の一週間を同じ歳のBチームに当たるAlevinCでトライアウトを受ける事になっていました。しかし、急遽のハプニングの為、AlevinCには話しが通っていません。AlevinAとAlevinCの練習会場も異なる為、全くゼロからの申し出という形となりました。
【5月25日(月)】
と言う訳で、案の定、“そんな話は聞いていない”という状態から始まりました。しかし、トライアウトへの熱意を伝えると、最終的には練習参加をO.K.してくれました。
正に、“飛び込み”“殴り込み”の様相で、AlevinCにもぐりこむ事に成功しました。
さて、この日は奇しくも他にも何人かトライアウトを受けに来ている、ユニフォームの異なる少年が何人か見受けられました。と言う訳で、トライアウトの定番、“ゲーム”です。
3チームに分かれ、9vs9のミニゲーム。全員が来シーズンにチームに残る為に、懸命にアピールします。
アピールとは言っても、個人技にひた走るようでは駄目。やはりそこは判断力です。“今は自分で突破するシーンなのか”“今はシンプルに叩いて展開すべきなのか”を的確に選択する戦術眼、そこに、基本技術、好守に渡る激しさ、戦う闘争心等、総合的なプレーヤーとしての資質が観察されます。
かく言うSHOUKEIは、なかなかのものでした。
最初は“日本病”とも言える、特にディフェンスの際の激しさに欠けるきらいはありましたが、徐々に粘り強いプレーを発揮し出すと、攻撃ではドリブル突破あり、巧みなパスワークありと、プレーの選択も的確でした。強いて上げるならば、もらう前にフェイントを使って相手のマークを外し、より条件の良い状態でボールを受ける術や、逆サイドで自分がフリーになっている時に、もっと声を出して見方に自分の存在をアピールし、ボールを引き出す積極性に欠けていた点でしょうか。いずれにせよ、この日集まったおよそ24人の少年の中でも、3本の指に入る目立ちっぷりだったのでは無いでしょうか。
言葉が通じない分も、プレーでアピールする必要があります。彼はこの1ヶ月間、様々なレベルを体験し、様々な挫折を味わい、そんな中で、いきなりの新しい環境でも、自分の持ち味を的確な場面で発揮出来るようになっています。
【5月26日(火)】
この日はEuropaのカンテラの練習が無かった為、エスパニョールのスクールに練習参加させてもらいました。今ではすっかり顔馴染みとなった彼等と、和気合い合いでプレーしていました。先週土曜日にこのチームで大活躍を収めたSHOUKEI。すっかりチームの中心選手!?に伸し上がった彼には、パスが良く集まって来ます。やはりフットボール(サッカー)は共通言語ですね。
もっとも、SHOUKEIが目指すのはカンテラの同世代のトップレベル。
ここで満足している訳にも行きません。
【5月27日(水)】
バルセロナ滞在期間中のトライアウトも残すところ今週のみ。
【5月28日(木)】
この日はエスパニョールのカンテラの練習。ところが、街はチャンピオンズリーグで優勝したバルサの凱旋パレードの影響で大渋滞。練習に遅れしていました。ところが着いて見ると、7割しか来ていません。どうやら、大渋滞に巻き込まれたのはSHOUKEIだけではないようです。
この日は同世代のAlevinAの中に混じり、懸命にプレーするSHOUKEI。しかし、流石にエスパニョール。この日はマークに就いたアントニーの激しいディフェンスに殆ど何もやらせてもらえません。それでも、同世代のスペインのトップレベルを体感出来た事は、きっとSHOUKEIのこれからに役立つ事でしょう。
【5月29日(金)】
今日で最後となったEUROPAのPrueba。「目標はゴール」と掲げて挑んだ最終日。強い意気込みがSHOUKEIから感じられた。今日はグランド半面を使っての7対7のゲーム。大きなサイズでのゲームはEUROPAでは初めてで、SHOUKEIにとっても絶好のアピールの機会となった。序盤、ディフェンス面においてもしっかりと相手を追いかけ、積極的にボールに絡んでいく意思が感じられた。しかしながら、なかなか目標であるゴールシーンまでたどりつかない時間が続く。あと一歩の声、動き出しが足りない。しかし、本人はボールを持つと、いつにも増してドリブルでゴールに向かおうという姿勢を見せる。そして、左サイドから切り込み、キーパーの脇わずかなコースをついてゴールを決める。その後もゴール中央からゴール右へと2点目を決める。体の使い方も少しずつ、自分の中でつかんできたようにも見えた。練習終了後、本人の表情はどこか浮かない。あと2日で日本に帰らないといけないこと、スペインでもう少し自分の挑戦を続けたいという表情に思えた。明日はESPANYOLでの最終日を迎える。存分に力を発揮してもらいたい」
by Keita Uematsu & Yuya Takaji
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