さぁ、その後、TAKUMIの挑戦はどうなっているのでしょう。スペインの大人は、1部から8部まで存在します。1部と2部はプロ。3〜5部はセミプロ。6〜8部はアマチュアと言うくくりが、大雑把ではありますが、一般的です。3部の選手でも、プロと言える程、それだけで食べて行っている選手もいますが、一方で、月500〜1,000ユーロ程度しかもらっておらず、プロと言うには厳しい、お小遣い程度しか給与を貰っていない選手もまた、3部リーグには存在します。ですので、3部もセミプロの中にくくります。4〜5部の選手は、クラブからもらう給与だけでは生活は難しく、多少のお小遣い程度はもらえるものの、そのくくりはセミプロです。5部では、月のガソリン代にしかならない程度しかもらえない選手も大勢います。
そんな中、日本の高校を卒業したTAKUMIが来年どのカテゴリーでプレーする事が出来るのか!?日本では、県でベスト8〜16クラスのチームでトップの20名に入っていた彼が、スペインでどのカテゴリーがレベルとして合うのか。正直な現実は、良くて6部、場合によっては、7部や一番下の8部も可能性としてはあり得ます。
当然、下のレベルに行けば行く程、技術のある選手は減りますが、それでも、大人になっても年間30試合以上のリーガを戦おうと生きている人達。例え8部であっても、決してそのレベルは格段に低い訳ではありません。戦うスピリッツや、ボディーコンタクトの激しいフィジカルの攻防がそこにも存在します。10人いたら、8〜9人はフットボールをするフットボール大国スペインですから、その選手層たるや、分厚いものがあるのです。
10段階で言う、プロになるようなレベル10や9の選手はそれ程、多く無くても、この国には、“結構やる”レベル8や7の選手はゴロゴロいます。例え、7部や8部リーグであっても、6の選手が多い中で、7や8の選手も存在する。それがスペインです。ですから、日本から来たレベル7や8の選手は、当然ながら、こうしたカテゴリーにまずは入って行くのが相場です。ここから、自分を鍛錬し、彼の地で適応し、のし上がって行けるかどうかは、本人次第であり、強い意志と大いなる努力、そして当然、才能が無ければ、その夢を実現する事は難しいでしょう。
そんな中、TAKUMIは、どうしても自分の夢を簡単には諦める訳には行かず、親に1年限定で、チャレンジする事を許してもらいました。
現在TAKUMIは、Trinitat Vela、そしてBarcelonetaと言う、2つの7部リーグに所属するクラブのテストを受けています。技術はしっかりしているTAKUMI。しかし、如何せん、大人しい。フットボールはパッションであり、このラテンの国では、無口で大人しい事は、決して得する要素にはならないでしょう。しかも、ただでさえ、言葉が通じない訳であり、コミュニケーションがなかなか仲間と取れない状況にある中で、彼は、どのようなチャレンジをして行くのでしょう。
日本では親を始めとする、様々な要素、環境に守られて育って来たTAKUMI。しかし、今はそんな頼れるものが、自分しかありません。自分が望むなら、自分で切り開いて行くしかない。まだ19歳では無くて、もう19歳なのだから、もっと自覚と覚悟を持って、物事に取り組んで行く事が必要です。
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