カンペオーネス!カンペオーネス!オーレー!オーレー!オーレー!
いやぁ、これが9歳の試合ですよ!見ている大人が十分に楽しめる試合を、こいつらはやってくれるわけですよ!
バルセロナダービーという緊迫した雰囲気の中、ジョアン・ガンペール・シウダード・デポルティーバの広大な敷地の一番奥にある、美しい緑の7人制フットボールコート(人工芝)で、エンジと紺のカラーと、青と白の縦じまカラーのライバル心剥き出しの両チームが激突しました。コートを覆い隠すような観客の数。これが、9歳の試合かと思うほど、周囲は熱気に包まれています。バルサのBenjaminA vs エスパニョールのBenjaminAのタイトルを懸けた一戦です。残り4試合を残し、エスパニョールが26戦23勝1分2敗、得点176、失点32の勝ち点70で首位。一方のバルサは、26戦22勝2分2敗、得点140、失点35の勝ち点68で2位。3位以下を大きく突き放し、優勝争いを演じる両チーム。この対決を制したものが、実質チャンピオンになるという大一番です。ちなみに、エスパニョールのホームで行われたダービーは、1-1の引分けでした。
試合は、序盤から白熱した展開。お互いに激しくプレスを掛け、それでも、両チーム共に巧みなパスワークを駆使し、相手のプレスを回避し、攻撃の糸口を探りあいます。後ろで素早く、正確なパスを繋いで行きます。相手が果敢にプレスに来ても、慌てる事無く、無理な場合は一旦下げ、次の展開を模索して行きます。奪えると見るや、局面局面での攻防は、非常に激しく、両チームの意地がぶつかり合います。そんな中、相手の隙を突いて、鋭く入る楔(くさび)のボールを絶妙なトラップからシュート体制に持ち込むも、素早く体を寄せた相手ディフェンダーが、激しくシュートブロックに行きます。
レベルの高い攻防が繰り広げられ、見る側としては、ただただ感嘆するばかり。
前半は、ホームのバルサが見事なパスワークでエスパニョールの守備網を崩し、決定的なチャンスを次々と作り出しますが、GKオリベルの攻守や、バルサのシュートミスに助けられ、なかなかバルサがチャンスをものにする事が出来ません。
われ等がサムライ少年軍団は、プロであるトップチームに対しては圧倒的にバルサファンぶりを見せているものの、今回は当然、一緒に練習参加しているエスパニョールのカンテラを応援です。特に、YUKIとKOSHIROは普段一緒にやっているメンバー達がこの激戦を戦っているのです。応援しない訳がありません。
エスパニョールはエースのセルヒオがミドルシュートを放つも、ボールはクロスバーを強く叩き、外れて行きます。
息詰まる攻防は、0-0のまま前半を終えます。
タイトル争いは、後半の25分間に託されます。
後半、徐々にペースを掴んで来たエスパニョールが、やや攻勢に出ます。
すると、相手のクリアーボールに勢い良く反応した右サイドバックのガッツマン、ビクトルが思い切りの良いミドルシュート!これが、見事にゴール左に突き刺さり、エスパニョールが先制点を上げる事に成功します!
尻に火が付いたバルサは、そこから反撃、カメルーン人のママドゥや、キャプテンの4番、切れのあるプレーをする1トップの7番等が、怒涛の攻撃を試みます。また、ディフェンスの3人も、チャンスと見るやタイミング良く上がって攻撃に参加、エスパニョールゴールを攻め立てますが、右サイドのビクトル、中央の長身アルティ、そして、左サイドのマルコが奮闘し、後半から入ったGKホアンマもファインセーブを見せます。
すると、鋭いカウンターから2トップのトニが左サイドを抜け出し、逆サイドでフリーのダニに送り込むと、これをダニが豪快に叩き込み、エスパニョールが0-2とリードを広げます。ダニは、ゴール後、応援に来ていたKOSHIROとYUKIにゴールを捧げるポーズまで見せてくれました。
バルサも懸命に反撃を試みますが、チーム全体で相手のパスコースを絞り、連動する完成度の高いエスパニョールBenjaminAは、なかなか崩れません。更には、局地戦でもビクトルやアルティ、ミゲルやマヌ等が体を張って、奮戦。テクニック溢れるバルサの猛者達を寄せ付けません。
すると、この日大活躍のビクトルが、ハーフライン付近から、25mのロングシュート。これが、前に出ていたバルサGKの頭を超え、ゴールネットに突き刺さりました!
0-3。
試合終了間際にはホーム寄りのジャッジでバルサがPKをものにするも、試合はそのまま1-3で終了。この両雄の激突にしては、思わぬ結果となりました。しかし、完成度の高い試合を実戦し、ライバルの敵地で貴重な勝ち点3を勝ち取ったエスパニョールのプレーぶりは見事と言うしかありません。
カンペオーネス!カンペオーネス!オーレー!オーレー!オーレー!
こうして、会場から両チームの奮闘振りに盛大な拍手が送られると共に、まだ数字上は優勝が決まっていないとは言え、実質、優勝を確信したエスパニョールの選手達が、少し気の早いチャンピオンソングを歌い出したと言う訳です。
われ等がサムライ少年達は、この2000年生まれの9歳の少年達の戦いぶりに、何を感じ取ったのでしょうか!?
そして、わが国は、この恐るべきフットボール大国スペインに追いつける日が来るのでしょうか!?
感嘆と共に、そんな複雑な心境にもなった、少年ダービー観戦の午後でした。
P.S.そうそう、この日はちょうど、バルサのトップチームが練習をしており、少年達は、ケイタ、トゥーレー・ヤヤ、イブラヒモビッチ等に遭遇し、興奮の雄叫びを上げていました。
by Keita Uematsu