7月26日(土) 今日のバルセロナは・・・ 相変わらずです。。。
大会も4日目、リーグ戦も今日の試合で同じリーグの全ての相手と一通り対戦することになります。
少年たちはすっかり大会の1日の生活ペースに慣れて来たようです。
朝8時に起床し、8時15分から朝食、そして9時からチーム練習のスタートです。午前の練習は途中給水や、おやつタイムを挟みながら述べ3時間程みっちり行われます。皆、そろそろ連戦の疲労が出てくる頃でしょう。特にTAIKIはエスパニョールキャンプからずっとですから。
練習後はいつものようにプールへ。ここは、小学校に隣接され、所有主は同小学校の為、少年たちが立てるレベルの深さしか無く、泳げない子供達も安心です。
ここでは、午前中の熱った体をクールダウンさせ、リラックスします。
そんな中、大会の主催者の1人であり、子供達からも慕われているペドロが「TAIKI、エスパニョールキャンプとこの大会はどっちが面白い!?正直に答えてくれ」と質問しました。
正直にと付け加えられ、少し戸惑いながらも、彼は「エスパニョールキャンプ」と答えました。ニコニコ顔を維持しながらも「ポルケ!?(理由は!?)」と迫るペドロ。するとTAIKIは「あっちの方が仲間が沢山出来た」と。
そうなんです、1週間を共にし、そんな中で着実にアミーゴを作って行ったエスパニョールキャンプ。そこで培った友情は、フットボールに匹敵する程の良い思い出なのです。
ここではまだ3日しか経過しておらず、まだ周囲とはそこまでの友情を育んでいません。果たして、ペドロが同じ質問を大会終了後にした時、TAIKIは何て答えるでしょうか!?
昼食後にはアトラクションが行われました。
そこでは、いくつかあるグランドの中でも中央のフットサルコートを利用し、そこに“巨大サッカーゲーム”、“バスケットボール”、“的当てゴール”、“回転魔球を止めろ”等の即席の面白いお遊び施設が特設され、少年たちはかなり楽しそうに遊んでいます。SOSUKEとTAIKIは一緒になって盛り上がっています。2人はすっかり仲良しです。SOSUKEの一番のお気に入りは“回転魔球を止めろ”で、これは、自分がGKとなって、マシーンが放つシュートを防ぐゲームです。マシーンは様々な回転を掛けてシュートを打ってくるので、人間が放つキック以上に回転し、変化するボールが飛んでくる為、なかなか難しいのです。SOSUKE「うわぇ、何これ!めちゃ面白れぇ!」
さて、午後からは大会公式戦です。
TAIKIのチームはテクノと対戦。テクノは昨日TAIKI擁するワールドチームA<インファンティル>が対戦し、破れた相手ポルトガルと互角以上の戦いを演じていました。そう、強敵なのです。そこで、ロレンソ監督はいつものようにTAIKIを右サイドバック、シャビをセンターフォワードにし、2人を軸にした布陣で臨みます。昨日の敗戦を吹っ切るかのようにしっかりとパスを回し、何度かチャンスを作るワールドチーム。しかし、相手GKの堅守に阻まれ、得点を奪えません。内容とは裏腹に、前半は0-0のスコアレスで折り返します。
後半に入ると、テクノが徐々にリズムを取り戻し、ワールドチーム陣内に攻め込みます。すると、これまで集中力高く戦っていたワールドチームの守備陣に信じられないようなミスが連発し、そこを突かれて瞬く間に3点を奪われてしまいます。TAIKIは疲労と多少残る指の痛みからか、今日はやや精細を欠いているようです。試合はその後、両チーム共に1点ずつを決めた所で試合終了。1-4で昨日に続いてワールドチームは敗れてしまいました。悔しがるTAIKI。普段は穏やかで口数の少ない一面を見せるTAIKI。しかし、ピッチ上ではファイターに変貌します。ピッチ上はお互いの持っているものを全て出し合う戦いの場です。彼は、ある意味、テクニック以上に重要なこの要素を持ち合わせています。頼もしい限りです。
これでチームは2勝2敗です。明日からのリーグ後半戦で巻き返したい所です。
さて、続いてはSOSUKEのチーム、ワールドチーム<アレビン>の登場です。トビアス監督は徐々に戦う布陣を固めて来たようで、今のところSOSUKEはスーパーサブとして後半の頭から出場するパターンが多くなっています。本人は「絶対スタメンを奪ってやる」と息巻いております。今日はプラン・マルセッB戦。何と、このチームはSOSUKE達が初戦で完璧にやられた相手ポルトガルFCを破っているではありませんか!?これはかなりの強敵です。しかし、今のワールドチームはあの時のチームとは違います。昨日から1つのチームとしてまとまり、全く別の顔を見せているのです。それだけに、強敵相手にどこまでやれるのかが試合のポイントとなりました。
試合は序盤から点の奪い合い。シーソーゲームが続きます。しかし、相手のキーマン、背番号10はかなりのテクニシャン。なかなか彼からボールを奪うことが出来ません。その彼からの絶妙なスルーパスが出たり、自らドリブルで突破したりと、ちょっと格の違いを見せ付けています。
後半から出場したSOSUKEは3-2-1の左MFの位置に入り、左サイドから攻撃に絡みます。しかし、相手ディフェンスの厳しい守りに、なかなか思うようなプレーをさせてもらえません。彼の課題は、自分の体をボールと相手ディフェンスの間に入れて、しっかりとボールキープする術を見につけることです。相手の足が届く所にボールをコントロールしてしまい、クリアーやカットされるシーンが目立ちます。
そして、試合は4-6で敗戦。強豪相手に奮闘しましたが、相手10番の存在感がそれ以上の差を感じさせる内容でした。
SOSUKEのチームもこれで2勝2敗。明日は再びポルトガルFC戦です。
そんなわけで、試合後の2人の表情は曇りがち。試合に負けたのだから当然です。そこへペドロが再びやって来て、「どうしたんだ!?元気が無いじゃないか!?」と声を掛けて来ました。試合で負けた事を聞いて事情を察したペドロは、「大会だから結果も重要だが、それ以上に大事な事は1試合1試合を通じて何かを学ぶことだ。君達は今学んでいる最中だ。敗戦は多くの事を君達に語ってくれるはずだ」と励ましていました。そんなペドロから嬉しいニュースが!
なんと!大会が選ぶ各カテゴリー毎の“その日の最優秀選手賞”のインファンティルの部に、TAIKIが選ばれたのです!!!!!およそ50人のインファンティル選手がいる中での価値ある評価です!!!
見る見る表情に明るさが戻るTAIKI。おめでとう!!!
TAIKI「やった!」
SOSUKE「えっ!俺は!?俺も昨日2点決めたし、ロングシュートも決めたやん!?」
「まぁ、SOSUKE以上に活躍したやつがいたって事だな。今日の10番とか見たろ。もっともっと頑張らなきゃ、選ばれん」
SOSUKE「よっしゃぁ、次は俺がなってやる!!!」
何だかTAIKI以上にはしゃいでいるSOSUKE。
2人の表情もすっかり晴れ上がり、明日からのリーグ後半戦に新たな気持ちで臨めそうです。
by 植松 慶太