あっという間に、野洲高校のスペイン遠征もクライマックスを迎えようとしています。
この日も午前中、カンプノウ横の人工芝のグラウンドでトレーニングを行った後、皆の憧れのカンプノウツアー。1957年に建設された伝統ある“聖地”の雰囲気を味わいながら、明日への夢を描く若者達でありました。
そして、夕方、スペイン遠征第3戦目にして最後の試合、地元の強豪コルネヤと対戦する事になりました。コルネヤは、トップチームこそ4部リーグ所属なものの、カンテラ(下部組織)の実力では、カタルーニャ州ではバルサ、エスパニョールに次ぐ存在と言っていいでしょう。とは言え、対戦相手はJuvenil B、すなわち、95~96年生まれが中心だけに、94年生まれが大部分の野洲としては、負ける訳には行きません。
バレンシアからバルサに移籍する事になり、先日のユーロ2012でもスペイン代表の左サイドバックとして大活躍したジョルディ・アルバも、コルネヤ出身の選手の一人です。
さて、このコルネヤ。今シーズンから新しいグラウンドでプレーする事になり、私設もとても綺麗です。また、そのすぐに背後には、何とエスパニョールのホームスタジアム、コルネヤ・プラットがあるのです!
更には、この日、野洲高校を迎えに来てくれたバスは、普段はエスパニョールのトップチームが使用する専用バス。選手達は、一様に興奮気味です!
先発は、前の2試合と同様で、1-4-3-3のフォーメーションで臨みます。
GK:Yamada
DF:Abe、Mizuno、Iida、Oozono
MF:Matsuda、Takano、Mochizuki
FW:Takeda、Tamaki、Oomoto
Sub: Omoto、Kakimoto、Sumiyoshi、Sekiguchi、Baba
怪我:Miyoshi、Kitamura
お互いに主導権を握りたい序盤、両チーム共、前からどんどんプレスに行き、相手に思うようにプレーをさせません。そんな中、最初に好機を掴んだのは野洲。8分に、巧みなパスワークから11番のOomotoが抜け出しシュートを放つも、GKの正面。
その後も、ボールポゼションで優位に立ったのは野洲。選手がお互いに近い距離で三角形の関係を作り、小気味よくパンパンとパスを繋ぎ、相手のプレスをいなして行きます。がしかし、野洲もボールは長く持っているものの、なかなか最後のフィニッシュの部分の迫力を出す事が出来ません。
徐々に焦れて来たコルネヤは、激しい寄せでボールを引っ掛けるようになり、そこからショートカウンターで野洲陣内に攻め込むようになります。
実は、この試合はラインズマンがいませんでした。これは、スペインでは、親善試合や、ジュニアレベルの公式戦では、ごくごく当たり前の慣習なのですが、肝心の主審が微妙なオフサイドの判定をさばけず、それが野洲に不利に働く事が続き、選手達は不満を募らせて行きます。
一方、36分、8番のTakanoがバイタルエリア付近でミドルシュートを放つも、こちらも力なく、GKにがっちりとキャッチされてしまいます。
そんな中、41分、コルネヤのセンターフォワードが野洲の繋ぎのミスを2度突き、シュートを放つも、いずれも外したものの、2度目の際に野洲のディフェンダーのチャージでファールを取られ、PKの判定に。これをきっちりと決められ、コルネヤが先制点を上げる事に成功します。
納得の行かない判定が続き、遂に野洲ベンチが激高。日本の慣習では、ラインズマンを付けるのは練習試合でも当たり前。おまけに、判定が不可解と来れば、お怒りも当然と言えば当然。
そこで、コルネヤ側と話し合い、急遽、お互いのチームから1人ずつラインズマンを出し、自分のチームのディフェンスラインに就く事にしました。
野洲側からはMurataコーチに出て頂きました。(ありがとうございました!)
さて、1点ビハインドの野洲。ここまでの2試合では、後半に崩れる傾向があっただけに、その戦いぶりが注目されました。
試合は拮抗した展開。野洲がボールポゼションで上回るも、コルネヤも野洲が攻撃している際に空くスペースを素早く突いて、カウンターを仕掛けて来ます。
66分にはコルネヤが強烈なシュートを見舞うも、野洲のGK、17番のYamadaが好セーブで防ぎます。
ここから徐々に、野洲が持ち直し、コルネヤゴールを脅かして行きます。
ポジションチェンジの流れから、左サイドでボールを受けた10番のMochizukiが、故障の影響で強振出来ない右足でコースを狙った絶妙なシュート。左上に飛んだボールは、しかしながら威力が無かった為、GKがパンチングで防ぎます。
そして70分、10番のMochizukiからの好パスを左サイドで受けた7番Takedaが左足を振り抜き、これが見事にゴール右に吸い込まれてゴール!!!
野洲、遂に同点に追い付きます。
ここから、サブのメンバーが次々と投入されます。
すると今度は71分。今度はゴール中央でボールを受けた7番のTakedaが、右へ持ち込んでシュートを放つと、GKの足元をぶち破ってゴールイン!!!
僅か2分間で、Takedaの2ゴールによって、野洲は一気に逆転に成功します!!!
その後、野洲はコルネヤにPKを献上してしまうものの、GKのYamadaが見事なセービングで阻止。
あとは巧みなパスワークで相手にボールを渡さず、そのまま1-2で勝利!!!
野洲、スペイン遠征3戦を2勝1敗と、まずまずの成績で締めくくりました!!!
カタルーニャの強豪クラブ、そして、エスパニョールにも、ある時間帯は通じた野洲の組織的なボールキープ術。一種独特の哲学によって築き上げられた彼らの武器は、確かに相手を翻弄し、躍動していました。セーフティー・ファーストで“逃げ”のプレーを繰り出すサッカーよりも、一本一本のパスに血と神経を通わせようとしている野洲のサッカーは、実に興味深い。しかし、そのこだわり故に、脆さも露呈したのも事実。人々を魅せつける面白いサッカーに、バルサやスペイン代表のような勝負強さが加わった時、再び、野洲の時代が訪れても、何ら不思議では無いだろう。
野洲の皆、ありがとう!!!
更なる進化を遂げ、強くなった野洲に逢えるのを、楽しみにしています!!!