さぁ、2週間のMASATOUの挑戦もあっと言う間!
27日(土)のエスパニョール・スクールリーグを経て、28日にはいよいよ帰国です。
“MASATOU、2週間、どうだった!?”
「あっと言う間でした。」
“もうそろそろ日本に帰りたいんじゃない!?”
「いや、そんな事無いです。もっとこっちでやりたい。」
さて、土曜日の午前に行われたエスパニョールのスクールリーグでは、3試合を経験したMASATOU。
先週は、レベル3で発揮出来たプレーが、レベル1で消えてしまった為、この日はレベル1でのプレーぶりが課題となります。
一方、RIKUとTAKUにとっては初めてのエスパニョール・スクールリーグ。試合とあって、本人達も楽しみな様子です。
第一試合はレベル2の試合。先発出場したMASATOUは、相変わらず得意のドリブルで相手をかわし、チャンスメイクをします。相手に先制点は奪われたものの、直ぐにMASATOUのアシストから同点ゴールが決まります。すると、前半の途中からTAKUが投入され、7人制フットボールの3-2-1の布陣の中で、TAKUが1トップ、MASATOUがMFの左を務めます。
すると、これまでなりを潜めていたTAKUが爆発!大人しいと思われていた彼が、積極的に声を“ヘイ”と出し、ボールを呼び込む動きで積極的にプレーしています。普段、日本ではボランチを務めているという彼にとっては不慣れなポジションかもしれませんが、前線でボールを受けると、相手ディフェンスをするりとかわして一気にゴールへ向かって、シュート。
ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーール!!!
TAKU、貴重な逆転ゴールを奪います。
その後も、巧みなボール捌きと的確なプレーで、攻撃を牽引します。なかなかやるじゃないですかぁ!?
持っているじゃないですか!!!
これだけでは終わりません。MASATOUと共に攻撃を組み立て、2人の絶妙なコンビから、最後はMASATOUのアシストを受けたTAKUMIが再びシュート!
ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーール!!!
TAKU、連続ゴールです!
逆に明暗を分けたのがRIKU。この試合でMASATOUとTAKUの対戦相手チームに入ったRIKUは、3-2-1の右サイドバックで途中出場します。しかし、コーナーキックのこぼれ球をRIKUがクリアーし損ね、これを相手に奪われてゴールを決められてしまいます。
その後、試合は日本人2人が攻撃を牽引するチームが終始試合を優勢に進め、終わってみればMASATOUが5アシスト、そしてTAKUが4ゴールを決める大活躍ぶりで、10-3と勝利しました。TAKU、ストライカーとして目覚めたか!?
続いて第二試合。ここでは、3人共に同じチームで出場します。このカテゴリーはレベル1。そう、MASATOUにとってはクリアーしたい場所です。
連戦となる3人はベンチスタート。その間、チームは先制ゴールを奪われたものの、同点ゴールを手にします。そこで、3人のサムライが同時投入されます。先の試合を見ていた監督が、TAKUを1トップ、そして、MASATOUを左MF、そしてRIKUを右サイドバックに起用します。
そこでは、先の試合よりレベルが上がったとは言え、持ち味を発揮するサムライ達の姿がありました。MASATOUは果敢にドリブルでゴール前まで持ち込み、お膳立て抜群のパスを出しますが、味方が決め切れません。逆に、何度か、“打てば良いのに!”というシーンがあり、まだまだ「シュートの意識」が改善出来ていません。
一方、この日、覚醒したように動き出したTAKU。バルセロナに来て7日目でのエンジン全開はやや遅いですが、ようやく、嬉しい驚きを見せてくれたのも事実。そして、TAKUのスルーパスを味方が決め、チームは逆転に成功です。また、RIKUも攻撃での見せ場は無いものの、相手のドリブルを体を張って止め、チームに貢献しています。
結局、試合は4-2で勝利、MASATOUとTAKUは2連勝、RIKUもようやく勝利の味を噛み締める事が出来ました。
さぁ、そして問題の第3試合です。
試合はレベル1。3人はまた、同じチームで参戦です。そして相手がレベル1の首位争いをしているチームの1つ。そして、とにかくでかい!中学1~2年生で構成されている、最上位生が集まっているチームでもあります。
3人はベンチスタート。試合は一進一退の攻防が続きますが、相手の中盤にドンと構える7番は、身長が180cmはあるのではないかと思われるほど、大きな体をしています。そして、テクニックもまずまずで、パワーとテクニックを駆使しての中央突破に、チームは苦戦します。一方、日本チームも時折カウンターから好機を作りますが、フィニッシュに精度を欠いてしまいます。
すると、監督は、3人のサムライを同時にピッチに送り出します。1トップには何とRIKU、そして、2列目にMASATOUとTAKUが入ります。しかし、ここ2試合で懸命に声を出していたTAKUの姿がそこにはありません。ドリブルで相手を翻弄していたMASATOUの姿がそこにはありません。そうです。2人共、フィジカルに勝る相手を前に、腰が引けてしまっているのです。確かに、身体がぶつかり合う場面では不利です。しかし、フットボールはラグビーではありません。必ず打開策はあるはずです。しかし、最初から勝負を逃げていては、打開策も何もありません。皆、どうしてしまったのでしょう!?
試合は、そんな弱気なサムライをあざ笑うかのように、相手が立て続けに2ゴールを決めてしまいます。
後半、再びベンチスタートとなった3人。しかし、勢いは完全に相手チーム。試合を決定付ける3点目を奪われてしまいます。そして、途中から再び3人をセットで投入。ポジションは前半と一緒です。しかし、彼等の様子に変化は見られません。
負けても良い。挑んで行く、気持ちの強さが必要です。前の2試合で、生き生きとプレーしていたサムライ少年達は、相手が“格上”と見るや、完全に逃げ腰になってしまっています。象徴的なのは、ピッチ中央での空中戦を、MASATOUもTAKUもいずれも競ろうとせず、2人の間をやすやすと7番に突破させてしまったシーンです。
そんな中、救いだったのは、1トップに入っているRIKUが懸命に前線からプレスを掛け、スライディングで相手からボールを奪おうとしたシーンです。3人の中で、一番“何とかしなきゃ”という気持ちをプレーに表していました。
しかし、結局この後追加点を決められ、3人はセットで、後半途中から出場したにもかかわらず、引っ込められてしまいました。いわゆる、“屈辱の交代”で、監督も刀の折れたサムライ戦士達を見抜いてしまったのでしょう。
試合は、0-4で敗戦。内容以上に、気持ちで負けた、「完敗」でした。
“フットボールは、技術云々以前に、闘える戦士じゃなきゃいけない。闘う気持ちが無ければ、良い選手にはなれない。負けても、吹っ飛ばされても闘わなきゃ。君達がいくらテクニックがあったとしても、最初から逃げていたらそんなもの無いのと同じだ。闘う気持ちが何よりも重要だ。年齢とか、体格とか、そんなもの、ピッチの上では関係無い。相手が手強いなら、いつも以上にファイトしなきゃ。”
3人「・・・・・・・」
普段、日本ではそこまで闘う意識が無くても、テクニックだけである程度通用してしまっているのかもしれません。そんな彼等が、この試合で何を感じてくれたのか!?彼等が、今回の「屈辱」を本当に悔しいと思ってくれていることを切に願います。
さて、午後には、今回参加したエスパニョールのカンテラ、AlevinBの試合観戦です。試合は、ホームのエスパニョールが3-0で快勝していました。
そして、翌日、MASATOUのたっての希望で、日本の親元を離れ、1人で頑張っているサムライ少年、RYUYAの試合を見る為に、IGUALADAというバルセロナから1時間離れた小さな町まで、行って来ました。
先発出場したRYUYAは、4-4-2の右ハーフです。相手は現在3位の強豪。ホームで対戦した時は、1-5でやられている相手です。この試合、一際目立っていたのはRYUYA。右サイドから果敢なドリブル突破や、パス交換から、相手陣内を攻め込みます。そして、左サイドからの大きなロングフィードが相手センターバックの頭上を越えると、そこへスピードを活かして走りこんだRYUYAが相手GKをかわしてシュート。
ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーール!!!
コルネヤ、強豪イグアラダのホームで先制ゴールを上げる事に成功します。
前半はこのまま0-1で終了し、後半へ。
応援に駆けつけた、RYU、MASATOU、RIKU、TAKUも、同朋が異国で活躍する姿に何かを感じている様子です。
後半、相手のミドルシュートが決まり、同点に追いつかれてしまいます。
後半は4-4-2の2トップの位置に入ったRYUYA。シーズン後半戦、このポジションでゴールを量産しているだけに、更なる期待が生まれます。
中央でボールを受けると、果敢に相手ディフェンスに割って入って行くRYUYA。
しかし、こぼれ球を相手と競り合って、同時にボールをキックしたシーンで、RYUYAが痛んでしまいます。
どうやら、打撲。びっこを引きながら、無念の交代です。
その後、試合は逆転されるものの、パウの同点フリーキックでコルネヤが敵地で2-2の勝ち点1を上げる事に成功しました。RYUYAは試合終了間際に再び試合に出場しようとしたぐらいなので、大事には至らなかったようです。
さて、今度は急いで空港へ。
そう、急がないとMASATOUの飛行機が飛び立ってしまいます!
そんなこんなで、MASATOUにとっての2週間、そして、この日の午後に日本に帰国するRYUの3週間があっと言う間に過ぎて行きました。
一方、RYUはお父さんの手厚いフォローの下、すくすくと成長している8歳。小さいながら、ファイターで、ガッツもあり、高いベースも持ち合わせています。何よりも、何よりも重要な「闘う気持ち」を持った選手で、努力家でもある彼は、今後、どんな成長を見せてくれるか楽しみです。
「UEMATSUさん、僕にフットボールの宿題を出して下さい。」とRYU。
“全身をもっと使ったプレーと、一対一でのドリブルに磨きをかけよう!”
「はい!分かりました!」
なんとも、頼もしい2001年生まれです。
Animo ! Ryu !!!
また、ストロングポイントと同時に、弱点・課題を曝け出したMASATOU。今後の彼の発奮に期待したいところです。
最後に、MASATOUの今回の短期留学で楽しかった事ベスト5、辛かった事ワースト3をご紹介して、この章を締めたいと思います。
Suerte!Masatou!
【MASATOUの辛かった事ワースト3】
1位:スペインの食事の時間が遅く、よくお腹が空いてしまった
2位:お風呂に浸かれなかった事
3位:日本のお米が食べられなかった事
【MASATOUの良かった事ベスト5】
1位:エスパニョールのカンテラを体験出来た。
2位:チャンピオンズリーグ、バルサvsシュツットガルト戦を観戦した事。
3位:リーガ、エスパニョールvsセビージャ戦を観戦し、スタジアムの雰囲気が凄かった事。
4位:バルサキッズキャンプで、思わぬ出会いがあった。
5位:エスパニョールのスクール生と友達になれた。
by Keita Uematsu