7月27日(日) 今日もバルセロナはバリバリの真夏日です!
今日も朝9時からのトレーニング。TAIKIは指の痛みは大分取れ、包帯を外すことを許可されました。しかし、昨日の試合で接触プレーによって痛めた左足の踵が今日になってやや痛み出したようです。
「やってて痛いようだったら、無理するなよ。だけど、我慢出来る範囲だったら、自分で決めていいよ」
TAIKI「やりたい」
ところが、その30分後には別の言葉が返って来ました。
TAIKI「このチームではもうやりたくない」と泣きながら訴えて来るではありませんか。
「どうした」
TAIKI「・・・・・」
「何があった!?誰かに何かされたのか!?」
聞けば、プールでの休憩中、チームメートがじゃれ合いの中でTAIKIの所にもつれて来て、その際に誰かの踵がTAIKIの鼻に当たったと言います。それ程痛くは無かったようですが、誰も謝りもせずにそのまま行ってしまった為、本人はわざとやったのではないか、自分を馬鹿にしているのでは無いかと言うのです。
さらには、
「エスパニョールキャンプの人達は、言葉では同じくなかなかコミュニケーションを図れなかったけど、皆優しかった。でも、このチームの人達は違う・・・」
どうやらTAIKIにとって、エスパニョールキャンプは相当、“友情”の面でも楽しくやれたようで、今はその対比として、少なからず苦しんでいるようです。そんな中で起こった今回の“鼻事件”
様子を察したロレンソ監督がやって来て、事情を知ると、試合直前にもかかわらず、皆を集めてミーティングを始めました。
ロレンソ「プールで何があった!?誰かの足の踵がTAIKIの鼻にぶつかったそうじゃないか」
ガブリ「俺とエドガーがじゃれ合っていて、TAIKIの方へもつれて行ったんだよ。その時にエドガーの足が当たっちゃったんだ。でも、俺ゴメンって言ったよ」
ロレンソ「エドガー、お前もちゃんと謝ったのか」
エドガー「確かに俺の足が当たっちゃったけど、わざとじゃないよ」
ロレンソ「謝ったのかどうか聞いてるんだ!」
エドガー「謝ってない。だって、言葉が通じないと思ったんだもん」
ロレンソ「だからって謝らないのは間違ってるだろ!」
エドガー「・・・・・」
「TAIKI、彼らはお前を馬鹿にしたり、いじめたりする気持ちは全然無いよ。ただ、ふざけていてぶつかったんだ。そういう事ってあるだろ!?わざとじゃないって言っている。その部分は分って上げて欲しい」
下を向きながら頷くTAIKI
ロレンソ「じゃぁ、もう一度TAIKIに謝れ」
ガブリ「ゴメン、TAIKI」
エドガー「ゴメンネ、TAIKI」
そしてお互いに握手
「エスパニョールキャンプの時は皆年上のお兄ちゃんだったし、確かに優しかったかもしれない。そして今ここにいるやつらは皆同じ歳だ。まだガキンチョなんだ。この国ではいじめは最低のやつがすることと思われているし、だからそういう陰険な気持ちで嫌なことをするやつは本当に少ない。あいつ等はただ乱暴にじゃれ合ってただけだ。その事は分ってやれ。そして、もしピッチに立つんなら、全力でやれ!」
どうやら納得したのか、しっかりと頷くTAIKI。
さて、呆れ顔でキックオフのホイッスルを吹くのをずっと待っていた審判。
ようやくキックオフです。
今日の相手はプラン・マルセッ、第一戦では接戦の末、3-2で勝利している相手です。
序盤は互角の展開ながら、相手に先制ゴールを許してしまう展開。しかしながらエースのシャビの同点ゴールですかさず追いつくと、今度はこの日左サイドバックに入ったTAIKIが思い切ったオーバーラップから左足のシュート。これが見事にゴール右隅に決まり、2-1で逆転。後半には2-2の同点に追いつかれるも、再びオーバーラップしたTAIKIが自ら得たフリーキックを直接決めて3-2、またまた接戦の末にこの試合をものにしました。朝のもやもやを完全に吹っ切ったかのようなTAIKIは、試合のMVP的な活躍で見事アイス権をゲットしました!
チームはこれで3勝2敗、TAIKIは5得点でチームの核として頑張っています。
昼食後、今度はSOSUKEの試合です。
今日の対戦相手はポルトガルFC、第一戦で1-7で敗れた相手です。
あれから即席チーム、ワールド・チームはどれ程成長しているのでしょう!?
注目です。
トビアス監督の今日の指令は前線からの激しいプレス。テクニシャン揃いのポルトガルFC相手にゆっくりとボールを持つ余裕を与えては勝負にならないと見たのでしょう。
そして、これが見事に功を奏します。技術は走って補え。その言葉通り、前からしっかりと圧力を掛け、相手に思うようにプレーをさせません。そして、奪ったらサイドにボールを叩き、俊足の選手が両サイドを突破して、中央やファーサイドへセンターリング。このカウンター攻撃がビシバシと決まり、3-1で前半を折り返します。そして後半頭から“スーパーサブ”の登場です。今日は3-2-1のワントップに入ったSOSUKE。普段やり慣れない役割なのか、なかなかワントップとしてボールを収めることが出来ないSOSUKE。また、チャンスでもパスやキープ、そしてドリブルの的確な判断を下せず、効果的にチャンスに絡めていません。そんな中でもチーム戦術である前からのプレスには顔を真っ赤にしながら貢献するSOSUKE。そんな努力に神様が微笑んだのか、右へ飛び出すSOSUKEに後方から絶妙なパスが送り出されると、SOSUKEはそのボールを迷わずダイレクトシュート。これが見事にGKの手を霞めてゴールに決まり、6-1とリードを広げることに成功です。流石に意気消沈するポルトガルFC。それでも巧みなパスワークでサイドを破り、2点、3点と反撃して来ます。しかし、こちらにはSOSUKEがいました。ゴール前にふわりと浮いたボールをSOSUKEがヘディングシュート!これが見事にGKの頭上を越えて、ネットに突き刺さりました。アイス権を見事にゲットするSOSUKEのゴールで9点目。結局試合は9-4で見事ワールドチームが初戦のリベンジに成功しました!
これでSOSUKEのチームも3勝2敗。そしてSOSUKEは5得点としっかり(ちゃっかり!?)得点を重ねています。
続いてTAIKI擁するワールドチームAはワールドチームBとの対戦です。前回のこの対決は、Aチームが5-1で勝利しています。今日は果たして!?
実は昨日、TAIKIはロレンソ監督に3-3の前の方のポジションをやりたいと願い出ていました。ロレンソ監督としては、チームで一番ハードワークが出来、スピードもあるTAIKIを後ろのポジションに置き、守備を安定させたい。そしてタイミングよく上がるTAIKIの攻撃力も十分に活かす事が出来る。しかし、TAIKIを前に置くと、守備が不安定になり、また前線の選手への効果的なパスが減り、悪循環が生まれる可能性がある。そういう意味で、TAIKIを後ろで使いたい気持ちがあるわけです。その事をTAIKIにも伝えた上で、それでも今回はTAIKIをセンターフォワードで使うことにしました。右サイドにシャビ。攻撃は強力です。
心配された守備も、他のメンバーが懸命に頑張り、まずまず良い感じです。逆に、センターフォワードのTAIKIは相手センターバックと、カバーに来るどちらかのサイドバックに挟み込まれ、何度かボールを奪われ逆襲を喰らう苦しい展開。明らかにこの新布陣は上手く行っていません。そんな中で相手のミドルシュートをキーパーが取り損なってゴール。先制点を奪われてしまいます。
そこからようやくTAIKIとシャビを中心に攻撃を繰り出し、何度かシュートチャンスを掴むものの、相手GKの安定したセービングぶりに、なかなかネットを揺らすことが出来ません。試合はそのまま、前半終了。そして後半も0-1のまま、じりじりと時間だけが過ぎて行きます。センターフォワードとしてのTAIKIはややもてあまし気味。そこでロレンソ監督はTAIKIを一度下げ、暫くしてから右サイドバックで再び送り出しました。すると、いつものようにタイミングの良いオーバーラップから再三TAIKIがシュートを放つも、ここでも相手GKの堅守に阻まれます。この試合では、TAIKIの課題がくっきりと浮き彫りになりました。それは、利き足である右足でのコースを突いたシュートと、逆利きである左足でもきっちりと枠に飛ばすシュートです。それが出来ていれば、この試合でも2、3点は決めていたでしょう。
そして前掛かりになっていたTAIKIのいる右サイドを突かれ、相手左ウイングが抜け出してゴール。0-2。そしてここでタイムアップ。チャンスの数、決定機の数では10vs4という感じでしょうか。しかし、効果的に確実に点数を決めたワールド・チームBが見事、リベンジをした形となりました。
これでチームは3勝3敗。残り2試合は2位のポルトガルFCと1位のテクノとの対戦だけに、厳しい状況です。
さて、タイトルに“誤解”としたように、今日は序盤に誤解から来る一悶着がありました。これは、言葉が分らない異国の地であるが故の誰もが味わう“壁”であり、“洗礼”であると言えるでしょう。異国の地では、周囲の人の喋っている言葉が分らず、それによって孤独を感じたり、不安になったりします。海外で生活することの難しさは、まさにそういう点にあると言えるでしょう。
TAIKIはエスパニョールキャンプでは、他の5人の日本人に囲まれ、そしてバンガローでは7人の年上のスペイン人のお兄ちゃん達に優しく接してもらい、それ程寂しさを感じずに過ごすことが出来ました。が、今はその時のギャップも重なって、新たな環境に戸惑いを感じています。残り1週間でそうした環境を自分の中でどのように消化していくのか。もし彼が将来ヨーロッパでフットボールをしたいというのなら、この点が大きな岐路となるでしょう。しかし、そうした内なる悩みを、払拭することが出来たのか、切り替えることが出来たのか、ピッチの上では足の痛みもありながら、本来の力を存分に発揮していた彼は十分に立派だと思います。
ところで、こうした悩みを全く抱えないだろう少年もいます。そう、SOSUKEです。彼は笑顔と身振り手振りのジェスチャーと、そして歌と石川県の盆踊りによって、とても楽しそうに周囲とじゃれ合っています。周囲の少年たちも、SOSUKEにちょっかいを出すのが楽しいようです。彼のそうした周囲とのコミュニケーション能力は、もはや才能と言えるでしょう。誰もが出来ることじゃありません。
というわけで、彼の場合は、少しでもフットボールの技術の向上にだけ専念してケアーすれば良さそうです(笑い)
by 植松 慶太
TAIKI君の気持ちがいつもポジティブに向かうよう、祈る様に見守っています。負傷しながらもチームの核としてこれだけ活躍出来る技術と強さがあるのだから絶対大丈夫!
SOSUKEのゴールシーンを想像をしたら笑っちゃいます。W杯期間中にカッコいいボール捌きを実況中継してもらえるよう…上手くなってね(v(^-^;)笑)
植松さん、いつもありがとうございます。子供達を細やかに寛大に見守って下さり、本当に素晴らしい経験をさせて頂いていますね。感謝です。
投稿情報: SOSUKEhaha | 2008/07/28 04:30
植松さんには、いろいろとお世話になっております。
TAIKIも、今までに経験したことのない環境の中で、自分なりに苦しんでいるのだと思います。でも、楽しいだけの経験より、その苦しさを乗り越えて、次に繋げる経験になってもらえたらと思います。レポートを読みながら、見守っています。
投稿情報: TAIKI母 | 2008/07/28 12:12
TAIKIへ
日本に帰って一週間… TAIKIががんばってるすがたをみて ぼくも日本でサッカーをがんばってるよ!TAIKIはほんとにすごいなぁって おもいます。ぼくも TAIKIみたいな選手になりたいです!だから TAIKI最後までがんばれ!いつか また会える日がくると いいな それまで もっとうまくなるように RYUYAもがんばるよ! エスパニョールキャンプ行ったみんな!また 会えるといいね!
SOSUKEくんもがんばれ!! 最後まで ふたりを 応援しているよ!
投稿情報: RYUYA | 2008/07/28 14:20