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バルセロナ発
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目指せ!バルサの10番!
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【第12章】“パス禁止”の功罪(その2)
皆さん、こんにちは。バルセロナの植松です。
今日は、前回に続き“パス禁止”の功罪についてです。
私は、この“パス禁止”のルールを否定するつもりはありません。
少なくとも、“少年時代に個人技術の徹底訓練を”という意見には大賛成です。
しかし、と同時に、サッカー(=試合)に必要な局面の状況判断力(=戦術眼)を、少年時代に養う事も
重要なのではと思うわけです。
どちらが先かとかでは無く、バランスの中で、サッカーというものを総合的に捉え、
サッカーが上手くなる(=試合で良い仕事が出来る)選手を育てるべきだと思うのです。
そして、スペインではまさに、そうしたサッカーの総合力を、少年達は小学生時代から学んでいます。
そして、今日は驚愕の事実!?について触れたいと思います。
それは、日本人少年は“ディフェンスが下手”だと言う事です。
こういうと、鉄壁のディフェンダーを擁する少年団のチームの方に怒られそうですが、
残念ながら、スペインの少年と比べると、平均ディフェンス力は劣ります。
こちらでは、10歳だろうが、8歳だろうが、7歳だろうが、とにかく皆激しくディフェンスします。
タックルが深いし、ボディーコンタクトの激しさは当たり前です。
人工芝グラウンドの普及もあり、スライディングタックルもバンバン飛んで来ます。
彼等のディフェンスが上手いと言うのは語弊があるかもしれません。
要は、“相手ボールを奪って、自分のものにしたくて堪らない”
そんな、極々自然の感情が、ディフェンスに於ける激しさ、巧さに繋がっているのでしょう。
また、常に公式戦を戦っている彼等は、生半可な事をやっている場合じゃない状況に置かれています。
毎試合、勝ち点3を懸けて攻防を繰り広げているのであり、皆毎試合、毎試合、必死に戦っている訳です。
時には、審判に見つからないように、相手のユニフォームを引っ張ってでも相手のドリブル突破を止めようとします。
そこには、奇麗事など言っていられない、喰うか喰われるかの攻防が、少年時代から既に繰り広げられている訳です。
“フットボールは戦争だ”とは、プロの世界の言葉ですが、少なくとも、少年達の公式戦でも、
“フットボールは格闘技だ”と言わんばかりの世界が繰り広げられているのです。
そんな彼等の(日本人少年から見たら)激しいディフェンスと比べると、
どうしても日本人少年のディフェンス力(相手からボールを奪う気迫と奪取力)は緩過ぎると言わざるを得ません。
そこで、最初の“パス禁止”の話に戻る訳ですが、
要は、日本人少年達は、日本の緩いディフェンス環境の中で、ドリブル力を磨いている訳です。
そんなドリブルの技術にちょっと自信を持っている日本人少年がスペインに来てどうなっているかと言うと、
バシバシ潰され、バシバシ止められてしまっているのです。
日本で通用していたドリブルが、あまり通用しないのです。
判断力、パスワーク、戦術、そうした重要な要素に目を瞑ってまで磨こうとしたそのドリブル力が、
スペインではそれ程効果的には役だ立たないのです。
これには非常に危機感を覚えました。
愕然とし、目の前が真っ暗になったのを覚えています。
スペインの少年は毎年公式戦30試合を戦いながら、戦術眼を磨き、適所で的確な技術を発揮出来る、
いわゆる、試合で良い仕事が出来る選手に育っています。
一方、ドリブルを持ち味としてスペインに乗り込んで来た日本の若き挑戦者達は、
その得意技がここではそれ程通用しないという洗礼を受けているのです。
そして、周囲の巧みなパスワークに付いて行けず、また、相手のドリブルに対し、
“緩い”ディフェンスで突破を許してしまっているのです。
スペインに来た日本人少年達誰もが100%口にする言葉、それが
「スペインは激しい」です。
それは、ディフェンス力と言い換える事が出来るでしょう。
スペインでは、そう簡単に相手にボールを持たせません。
必死に、ボール保持者に対してアタックして来ます。
そんな彼等を前に、日本から来た上手い少年達は、次々と潰されているのです。
続く。。。
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