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バルセロナ発
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目指せ!バルサの10番!
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【第8章】リーグ戦の巧妙(その2)
皆さん、こんにちは。バルセロナの植松です。
前回に引き続き、スペインの少年達の恵まれた公式戦の環境についてです。
何故トーナメント戦ではなくリーグ戦なのか。
スペインにももちろんトーナメント戦はあります。
プロの世界で言うなら、いわゆるコパ・デル・レイ(国王杯)のような存在です。
でも、飽くまでもスペインのメインイベントはリーガ・エスパニョーラです。
それは、日本のプロの世界でも同じでしょう。
Jリーグがメインイベント的な存在で、天皇杯やナビスコ杯を第一の目標に戦っているチームはいないはずです。
確かに、UEFAチャンピオンズリーグは世界最高峰のレベルの戦いを見る事が出来る舞台として、
今日非常に権威を得ています。
この大会もグループリーグはあるものの、ベスト16からはトーナメント戦です。
チャンピオンズリーグのビッグイヤーのタイトルを欲しがらないフットボール選手はいないでしょう。
誰もが立ってみたい夢の舞台。それがチャンピオンズリーグです。
そう、それは夢の舞台なのです。誰もが立てる舞台ではありません。
各国リーグで上位に就けた者のみが出場資格を得る、権威ある大会なのです。
かと言って、シーズン開幕当初から、チャンピオンズリーグ制覇をシーズンの第一目標に
掲げるチームは殆ど無いでしょう。
もちろん、その舞台に立つチャンスを得ているチームは、並々ならぬ意欲と期待一杯にこの大会に臨むでしょう。
しかし、トーナメント戦はホーム&アウェイの2試合で決まってしまう戦いなだけに、
一瞬にして夢が消えてしまう過酷な場でもある訳です。
それだけに、飽くまでも出場出来て光栄、勝ち進む事が出来れば尚良し。
そういうスタンスで臨んでいるのでは無いでしょうか。
そして、どこか博打的な感のあるトーナメント戦よりも、着実に年間30試合以上あるリーグ戦を主戦場とする方が、
地に足付いた感がしますし、どのクラブもリーグ戦を最重要視し、ベース(根幹)と考えているはずです。
さて、話を戻します。
スペインの少年達は、トーナメント戦でなく、リーグ戦を5歳から毎年、毎年、30試合ずつ戦う事が可能です。
リーグ戦の良い所は、“どのチームも確実に30試合を戦える”と言うことです。
弱いからと言って、2、3試合で終わってしまう事はありません。
どのチームも、“がちんこの公式戦を絶対に30試合戦う事が出来る”のがリーグ戦の醍醐味の一つです。
日本はまだまだトーナメント形式の大会が多い為、強いチームは結構な数をこなす事が出来ますが、
そうでないチームは早期敗退してしまい、公式戦の経験値はその分、少なくなってしまいます。
また、スペインでは以前のメルマガでご案内したように、2学年毎にカテゴリーが分けられ、
それこそ5歳から18歳まで、途切れる事無く年間30試合の公式戦を戦い続ける事が出来る舞台が整っています。
では日本ではどうでしょうか!?
小6まで、もしくは小6の試合に出してもらえる小5の上手い子以外の下級生達は、
圧倒的に公式戦の経験値が少ないのでは無いでしょうか!?
12歳を超えてからもそうです。折角公式戦が増える小6が終わってしまったら、
中1となる13歳世代で再び公式戦の数が激減していないでしょうか!?
先輩の球拾いをしていないでしょうか!?
「先輩ナイッシュー」とか言っている地球の裏では、同学年が年間30試合の公式戦を戦っているのです。
高校生世代もそうです。高校のサッカー部、もしくはクラブチームのユースに所属している青年達で、
何%の選手達が、年間30試合の公式戦を戦う事が出来ているでしょうか!?
やはり高1の時に、「先輩ナイッシュー」を繰り返していないでしょうか!?
サッカーの名門高に入ったにもかかわらず、部員が120名もいる為に、
殆ど試合をした記憶の無いままに3年間を過ごして行く選手が、果たしてどれ程存在するのでしょうか!?
スペインでは、誰でも、どんなレベルの子でも、年間30試合の公式戦を戦う事が可能です。
各カテゴリーが4部まである訳で、自分の身の丈に合ったレベルのチームに所属し、
そして同じレベルのチーム同士が集まったリーグで、年間30試合の熱き戦いを、皆が皆享受出来るのです。
やはりフットボール(サッカー)の醍醐味は公式戦です。
一番楽しいのは試合です。
そんな当たり前の事が、当たり前の様に手に入るスペイン。
スペインの少年達は、例え一握りの幸運なプロのフットボール・プレーヤーになれなかったとしても、
皆フットボールを楽しみ、満喫し、いつまでもフットボールを愛し続け、
コアなフットボールファンとして、スタジアムに足を運び続けるのです。
次回もまだまだ「リーグ戦の巧妙」が続きます、、、
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