来シーズンのチームが発表となり、引き続きコルネヤの1998年生まれの2軍でのプレーを言い渡されたMASATOU。今シーズン、右サイドバックとして、尻上がりに調子を上げ、終盤では、チームにとって欠かせない安定感を発揮するプレーヤーに成長したものの、1軍への昇格話は持ち上がりませんでした。
来シーズン、Infantilの最終学年となるMASATOUは、「1部リーグを戦うチームに移籍したいです。」と懇願して来ました。日本からわざわざ海を渡ってフットボールに挑戦しに来たMASATOUにとって、当然の願望です。その挑戦しようとする気持ちに何とか報いたい。そこで、所属クラブのコルネヤに話をしに行きました。
「1週間の猶予を与えよう。MASATOUの所属するInfantil C(2軍)に入りたい選手は沢山いる。それ以上の期間が欲しい場合は、戻って来ても場所は無くなる可能性がある。」
と言うわけで、MASATOUの1週間の挑戦が始まりました。1部リーグを戦うチームは、カタルーニャ州にはバルサ、エスパニョール、コルネヤ、ダム、エウロパ、グラマネットなど、16チームx5グループの計80チーム。しかし、片道1時間以内で通えるチームに限定すると、10数チームに絞られます。そんな中で、MASATOUはエウロパの入団テストを受ける事に決めました。
Europaは、リーガ・エスパニョーラが1929年に創設された際に参加した10チームに名を連ねる名門。最近はカンテラ(下部組織)の実力では、バルサ、エスパニョールに次ぐ強豪クラブであるコルネヤやダムに水を空けられている感はあるものの、れっきとした実力クラブです。
ところが、その日の練習には、MASATOUを含め、何と26名の選手が練習に参加していました。通常、11人制を戦うチームの人数は下部組織のカテゴリーでは18名が相場。そこに、26名がいるのですから、単純に8名が落とされる事になります。
ゲーム形式で行われた練習では、今シーズンの定位置、右サイドバックでプレーするMASATOU。そこで、無難にプレーする彼の姿があるものの、自分をアピールしなければならない入団テストと言う舞台では、いささか物足りないプレーぶりです。ミスを恐れず、ガンガン、オーバーラップして、攻撃力を見せたり、果敢に縦へドリブルで仕掛けたり、どんどんミドルシュートを打ちたいところ。しかし、簡単に横パスを捌く、ミスは無いものの、アピールに欠けるパフォーマンスに終始しました。それでも、持ち味と言える、安定感のある選手だと言う点は、アピール出来たかもしれません。
がしかし、その日の内に結果は出されました。
答えはNO。
「既にうちにはたくさんの選手がいる。もう、来シーズンの構成もほぼ固めてあるので、うちでは獲れない。」と言う回答が返って来ました。
“さて、どうしたい、MASATOU!?”
「別のところを受けてみたいです。」
と言う訳で、今度は「サムライ少年の家」のあるコルネヤからはバルセロナを挟んで反対側に位置するグラマネットへ挑戦する事になりました。グラマネットは、東の名門で、カンテラ(下部組織)の実力には定評があります。
すでに、グラマネットの1998年の活動は終わっていたものの、プルエバ(入団テスト)を希望するメンバーのみを集め、練習会が行われました。そこには、様々なチームから、グラマネット入団を目指し、選手達が集まっていました。
それから、週末を挟み、3度の入団テストが実施されました。そこでは、まだまだアピールと言う点では物足りないものの、随所にキラリと光るものを見せる、MASATOUの姿がありました。入団テストに来ている誰よりも、安定した、好プレーを見せていました。彼の実力を知るこちらとしては、まだまだ不十分ではあるものの、周囲にその力量を見せるには、十分だったようです。
結果は合格!!!
見事、MASATOUは自らの力で、来シーズンのより良いステージを掴み取る事に成功しました。
来シーズンは1部リーグ所属のチームの一員として、バルサやエスパニョール、コルネヤ等とホーム&アウェイで2試合ずつ、合いまみえる事になるのです。
おめでとう!MASATOU!!!「サムライ少年の家」から片道50分の距離ではあるけれど、それでも、十分に価値のある挑戦だったと思います。結果よりも、まずはその挑戦しようとする心意気に、拍手を送りたい!そして、見事にそのチャンスを掴み取った事に、更なる賛辞を送りたい!
MASATOU!来シーズンがとても楽しみになったな!!!
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