98年生まれのKAZUKIが挑戦する事になったクラブは、古豪EUROPA(エウロパ)。1907年に創設されたこのクラブは、なんと1928年に10チームでスタートしたリーガ・エスパニョーラ1部リーグの初代メンバーに、バルサ、レアル・マドリー、エスパニョール、アトレチコ・マドリー、アスレチック・ビルバオ、レアル・ソシエダ等と共に名を連ねた名門クラブです。
ここの98年の1軍チームで1週間の練習参加を経て、今週末はミニトーナメントに参加する事になりました。エウロパ主催のこのイベントには、同クラブの他、ガバ、マルチネン、そして、バルサが参加します。
まずは土曜日の準決勝、対ガバ戦。KAZUKIは、1-4-2-3-1の右ウイングで先発出場します。
「練習では、結構いい感じでやれていたんですけど、試合はちょっと力みました。力的にはマックス10としたら、4ぐらいです。」と言うKAZUKI。持ち味のスピードを活かしたスペースを突くプレーも、あまり見られず、そもそもボールになかなか絡む事が出来ませんでした。チームメイトの信頼を勝ち取る為にも、もっとアピールが必要です。
前半のみで退いたKAZUKI。試合は、1-1の同点の末、PK戦で勝利を収めたエウロパが、明日の決勝に駒を進める事になりました。
対戦相手は、、、そう、FCバルセロナです!!!
KAZUKI「悔いの無いよう、明日は全部出し切ります!」
さて、翌日の決勝戦。
KAZUKIはベンチスタートです。
試合は、バルサがボールを完全に支配し、ワンサイドゲーム。しかし、バルサも最後のフィニッシュに精彩を欠き、エウロパGKの奮闘もあり、前半終了間際まではスコアレスの展開。がしかし、そこまで頑張っていたGKの守備範囲が良過ぎた為、枠を外れた強烈なシュートをGKが弾いて残したところを、バルサが奪った所から失点。結局、前半を0-2で折り返す事になります。
後半から、いよいよKAZUKIが登場します。今回は、1-4-2-3-1の左ウイングに入りました。
がしかし、相変わらずのワンサイドゲームで、ボールがなかなかバルサ陣内まで行きません。
巧みなポジショニングと正確なパスワーク、そして、個々の類稀な技術が噛み合い、エウロパの陣地を一杯に使って、エウロパの守備陣を揺さぶります。サイドをぎりぎりまで使って相手の陣形を横に広げると、今度はスペースが出来た中央に鋭い縦パスやドリブル突破で風穴を開けて行く。13~14歳の若者達は、既に大人顔負けのフットボールを展開しています。
また、時折エウロパにボールを奪われても、直ぐに2人、3人で囲い込んでボールを奪いに来る為、なかなかエウロパはボールを保持する事が出来ません。ボールを持って前へ出ようと陣形が崩れかかった矢先にボールを奪われ、そこからショートカウンターで失点と言う、まさにバルサの型にはめられた形で、次々と失点を重ねて行きます。
KAZUKIは、相手のボールホルダーに次々とスライディングで何度もボールを奪おうと走り回るものの、闘牛士が牛をひらりとかわすように、簡単にいなされてしまいます。
それでも、何度か強引に球際の攻防で勝利し、ボールを前へ進めようとしますが、直ぐに襲ってくる2の手、3の手に対し、的確なプレーを繰り出す事が出来ません。
ただ、KAZUKIは常に大声を出し、味方にしっかりとボールを要求し、強い気持ちが見ているスタンドまで伝わるのは特筆すべき点です。
また、「ヴァー、ヴァー、ヴァー(さぁ、行こうぜ!)」と手を叩きながら味方を鼓舞するKAZUKI。こちらに来て2週間足らずの日本人少年が、なかなか出来る事ではありません。
チームの中で、最も気持ちを前面に出して闘っていたKAZUKI。これは、彼のこれからのストロングポイントの一つに、間違いなくなるでしょう。
試合は、2人の韓国人選手等の活躍によって、0-6でバルサの圧勝劇となりました。
「何もかもが全て上。でも、スペインの同年代のトップレベルとやれたのは良かった。これから、あそこを目指して頑張りたい!」と感想を語ってくれたKAZUKI。まずは、エウロパにとって必要な選手となるべく、また明日から、挑戦です。
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