先週はイタリア遠征を体験、シュツットガルトなどを破って見事優勝を果たしたエスパニョール Infantil B。この日は、スペイン遠征に来ていたイングランドのマンチェスター・シティと練習試合を行いました。
我らがGAKUは1-4-2-3-1の1トップで先発出場します。決してストライカータイプでは無いものの、的確なボールさばきをベースに、周囲を活かす事の出来るGAKUを、ダビッ・フェルナンデス監督はトップに据える戦術を敷きます。そんなGAKUは、自分の役割を理解してか、スピードのある両ウイングに次々とお膳立てのパスを供給して行きます。しかし、左ウイングのジョエルを始め、エスパニョールのシュートは威力無く、ゴールの匂いがしてきません。GAKUは、なかなかアシストポイントを稼ぐ事が出来ません。
試合は、マンチェスター・シティも個々には技術のある面白い選手が揃っているものの、パスワークではエスパニョールが上。シュートの数では、エスパニョールが圧倒しています。
がしかし、マンチェスター・シティは一発のカウンターから得たコーナーキックをものにし、先制点を上げる事に成功します。
ここで、エスパニョールは前線のGAKUとジョエルを外し、フアンとエースのフォデを投入します。すると、これがいきなり功を奏し、フォデが立て続けに2ゴールを叩きこみ、すぐさまエスパニョールが逆転、更にはフォデのお膳立てからキャプテンのポールが見事なミドルシュートを叩きこみ、エスパニョールが前半を3-1で折り返します。
後半に入ると、メンバーを大幅に変えたエスパニョールが完全に優勢に立ち、次々とゴールを脅かします。中でも、この日冴えに冴え渡っていたのがフォデ。後半も2点を加え、この日は4ゴールと大爆発します。
後半の途中から再びGAKUも再登場すると、左サイドをドリブルでえぐって最後はギジェのゴールをきっちりとアシストします。
更には、左サイドのマテオの突破からゴール前に走り込んだGAKUへ絶好のアシスト!
がしかし、“目をつぶってでも決められた”はずのシュートは、何と足の当たり所が悪く、突き上がる形でクロスバーを直撃し、ゴールとはなりません。
更には、相手ゴール前の混戦からこぼれたボールをGAKUが体制を悪くしながらもシュート。飛びつくGKをあざ笑うかのようにゴロですり抜けて行ったボールは、今度はポストに当たり、これまたゴールにはなりません。
結局、試合は6-2で、エスパニョールが快勝しました。
しかし、ゴールを決める事が出来なかったGAKUは、試合後、頭をうなだれ、ロッカールームでのチームメイトとのコミュニケーションもそこそこに、出て行ってしまいます。
これに対し、ダビッ・フェルナンデス監督は、GAKUを呼び出し、お咎め。
「どうしたんだ!?GAKU!?チームが勝って、皆喜んでいるのに、何でそんな不機嫌そうな顔をしている。自分のパフォーマンスに満足していないのかもしれないが、1試合、2試合、上手く行かなかったからって、そんな顔するな!チームの仲間への挨拶は、どんな時でもしっかりとやるんだ!チームの良い雰囲気、ムードにとって、マイナスとなっていないか、自分の行動を考えろ!。君は、スペインでもトップレベルのカンテラでプレーし、レベルの高い仲間に囲まれ、整った環境で練習やプレーをし、レベルの高い相手と戦えている。そんな環境に満足していないのか!?毎試合、毎試合、お葬式のような顔をするな!」
これを横で聞いていて、この問題は一筋縄ではいかない話だなと思いました。
日本では、チームが負けた時、自分のプレーが不甲斐なかった時、悔しさで一杯になり、もしくは反省の気持ちで気落ちし、周囲から見て、不機嫌そうに見えたり、暗い雰囲気に見えたりする事は、多く見かけられる。
がしかし、スペインではそうでは無い。試合に負けても、試合後のロッカールームでは、陽気ないつものスペイン人の姿が常にそこにある。それは、例え戦犯級のミスを犯したヤツでも、である。
日本人からすれば、「何故、アイツ、あんなミスしたのに、笑ってるんだろう!?」「あいつ、全然反省してないのかよ!?」と映る事だろう。
ここに、オンとオフの切り替え文化の大きな違いが滲み出る。
スペイン人は、オンとオフを実に巧みに使い分ける。試合では、まるでスイッチが入ったかのように、練習以上のパフォーマンスで戦う事が出来る彼らは、一方で、試合で負けたとしても、試合とその後の自分の時間(人生)をスパッと分けていて、すっかりオフのモードに切り替わっている。もちろん、ミスをしたら、彼らなりに反省をし、次に同じミスを犯さないようにと思っているだろう。がしかし、それをネチネチと引きずらない。そのオンとオフの切り替えの早さと速さが、日本人のメンタリティーと決定的に違うのだ。
それぞれの国の文化があり、それぞれの育った環境がある。だから、どちらがいいとか、優劣を付ける問題では無いし、スペインのそれに全て迎合する必要は無い。
だけど、確かに、自分のプレーが上手く行かなかったからと言って、ふて腐れて、挨拶もろくにしないで去って行く姿と言うのは、スペイン人に言われなくても、決して“イケている”ものでは無い。
少なくとも、確かにスペイン人の少年達は、試合の結果、自分のパフォーマンスに左右される事無く、試合後、しっかりと挨拶を交わす事が自然に出来ている。
「郷に入っては郷に従え」と言う言葉があるけれど、ならば、スペイン人に“イケてない”と指摘された点は、サムライ少年個々で、自分なりの回答を見つけ出していく必要があるだろう。
彼らと同じように、ラテンの乗りでバカ騒ぎを無理やりする必要は無いけど、彼らのオンとオフの切り替えの早さと速さというものは、自分達にとっても、積極的に取り込む価値と意義を、きっと見出せるはずだ。
私は、ここでいうスペイン的「行動」に賛同する。一人間として、自分の機嫌は、ほかの仲間に関係ない。そんなことを、他人にしめしてもしょうがない。次に生きる行動とはおもえない。KOSHIROもサッカー以外でもうまくいかないことが重なると、声かけられても無視したり、挨拶をしなかったりなど、八つ当たり的行動する。最初は、悔しがっている態度として、うれしくおもっていたが、決して前向きなこうどうではない。人間として心が育っていない現われのひとつである。そして、単なるパフォーマンスにすぎない。本当に意味で合理的に物事が考えられるヨーロッパ人。ふてくされて、感傷的に、感情的になっているよりは、次のためのことを考えるスイッチを入れるべきだと思う。泣いて強くなるという言葉を日本人はつかう。今は泣くだけで、そのあとがついてこない子がおおい。
投稿情報: 鬼 | 2012/05/28 08:40