さぁ、今日から、いよいよキャンプが本格スタートです。この日は、午前と午後の2部練習、午前は10時から、午後は16時半から、バニョラスの湖の畔にあるフットボール場で行われました。
午前中は昨夜、一緒に泊まった25名に加え、近隣に住む“通い組”の25名が加わり、およそ50名の選手達が一堂に会しました。午前中の練習では、4つのグループに分かれ、生まれ年別に、1999年以前生まれのグループ、2000年・2001年生まれのグループ、2002年生まれ以降のグループ、そして、バルサ、エスパニョールのカンテラのみで形成された“クラック”グループで編成されました。そして、4種類の様々なメニューをグループ毎に代わる代わるこなして行きました。
昼食、プール、しばしの自由時間を経て、午後の練習は、“Mundialito”と称し、ミニワールドカップ大会が行われました。これは、2000年生まれ以上の選手達が4つのチームに分かれ、総当たりで2試合ずつの計6試合を戦い、キャンプ最終日には決勝トーナメントを戦うと言うもの。一方、2001年生まれ以降の選手達は、8人ずつに分かれ、これまたミニミニ大会を戦う事になりました。
大きな少年達による“Mundialito”では、1チームが8人で構成され、ウルグアイチームにTAKUKI、フランスチームにSHUNとKOSHIRO、アルゼンチンチームにSHOKI、そして、ブラジルチームにはITSUKIが入りました。
この日は、最初の一巡の総当たり戦が一気に、10分ハーフで行われました。
まずは、TAKUKI擁するウルグアイvs KOSHIROとSHUN擁するフランスの対決。TAKUKIはセンターフォワードで、KOSHIROは左サイドバック、SHUNは2トップの一角で出場です。フランスチームには、1999年生まれのスペイン全国大会優勝メンバー、エスパニョールのマルクとフォデ、また、2000年生まれのエスパニョールのカンテラの中心選手の2人、ミゲルとダニが揃い、なかなかのメンバーです。
一方、TAKUKIのウルグアイには、優勝メンバーの内、キャプテンのポール、そして、右サイドバックのダニ・レイナと実力者達が君臨します。
試合は、互角の展開。高いレベルの球捌きを見せる両チームの選手達、なかなか見応えのある試合を披露してくれます。KOSHIROは、右サイドバックと言うポジションのはずながら、殆どセンターバックのマルクと左サイドバックに守備を任せ、ガンガン攻撃に絡んで行きます。しかしこのチーム、前線の2000年のエスパニョールコンビ、ミゲルとダニがやや個人プレーに走り、球離れが悪く、効果的なチャンスを作り出す事が出来ません。パスワークでシンプルに崩せる所を、無理やり自分でやろうとして、時間が掛かり、最後は相手のブロックに阻まれてしまいます。
そんな中、この試合、随所に光るプレーを見せたのがTAKUKI。トップの位置でボールを受けると、巧みなステップで相手守備を揺さぶり、攻撃の起点になります。が、こちらもやや、球離れが悪い。一つ、二つ、余計な事をしてしまい、シュートチャンスまで持ち込む事が出来ません。
そんな中、ウルグアイは、ポールの絶妙のスルーパスに抜け出したTAKUKIが、詰めて来るGKをすり抜けるようにゴールを決めます!喜ぶウルグアイチーム!TAKUKIも嬉しそうです。
その後、TAKUKIは何と2つのアシストを決め、終わってみれば全3ゴールに絡む活躍を見せ、ウルグアイがフランスを3vs1で破りました。フランスチームのSHUNは、年齢上位なだけに、フィジカルとスピードで存在感を見せるも、やや大人しめのプレーに終始、やや遠慮がちにプレーする姿が見られました。もっとも、声は良く出ており、しっかりと覚えて来たスペイン語の単語を発して、チームメートとコミュニケーションを取ろうとしている所は素晴らしい。
さて、お隣では、アルゼンチンvsブラジル。SHOKI vs ITSUKIの対決です。2人はいずれも、それぞれのチームの左サイドバックを務めました。ITSUKI擁するブラジルには、バルサの突貫ボーイ・セルヒオや、エスパニョールのアルティミラ、SHOKI擁するアルゼンチンには、バルサのストライカー・ルイス、エスパニョールのストライカー・アルナウ等、強者が揃っています。
こちらの試合はシーソーゲーム。両者の持ち味がぶつかり合い、好ゲームが展開されます。そんな中、ブラジルのITSUKIは、左サイドで堅実な仕事ぶりを発揮します。去年参加した際には、試合に乗り切れない、どこかふんわりした印象だった彼は、インドでサッカーをする環境があまり恵まれていないと言いながらも、プレーには随分と成長した跡が見られます。特に、体を張った粘り強いプレーが身に着き、ディフェンスの際などに見せていた“軽い”プレーが影を潜め、奮闘する頼もしい姿が見られます。強いて言えば、左サイドでの自分の任務に固執し過ぎで、攻撃参加が殆ど見られません。もっと、積極的なオーバーラップなど、攻撃の意識も強く持ってプレーしたいところです。
一方、SHOKIは、元々ディフェンスの選手だけあって、守備面での仕事はしっかりとこなしているものの、プレー自体が全体的にやや消極的。周囲のスペイン人達が、俺が!俺が!のスタンスでガンガン自分を出そうとしている姿とは対照的です。また、チームメイトのプレーと自分が意図している事が合わず、度々もったいないシーンが。まだまだ、本来の自分を20%も出せていないような印象です。
試合は点の取り合いの末、ITSUKI擁するブラジルが3vs2で勝利を収めました。
一方、ミニミニ大会の方では、イタリアチームに入ったRYUGENとスペインチームに入ったRYUSEIの対決を見る事が出来ました。
RYUGENは左ウイングの位置で、RYUSEIはセンターバックの位置でプレーします。積極的にプレーする姿勢を見せていたのはRYUSEI。ルーズボールへの反応など、ボールへの喰らい付きは誰にも負けていません。センターバックなので、シンプルで確実なプレーが求められるところですが、やや持ち過ぎてピンチになる場面はご愛嬌と言ったところでしょうか。とにかく、やる気モードのオーラを発しているところは、好感が持てます。
一方、左サイドの位置で、なかなかボールを受ける事が出来ないRYUGEN。皆、俺が、俺がモードの雰囲気の中では、強くボールを要求しなければ、プレーに参加する事が出来ません。それでも、ボールを受けた時は、なかなか鮮やかなステップワークを見せるRYUGEN。それだけに、もっと積極的にボールを呼び込み、もっとゲームに入り込んで行きたいところです。
そして、後半、一気にフォワードの位置に配置されたRYUSEIがやってくれました!右サイドからのパスを中央で受けると、相手ディフェンダーを一人かわしてシュート!これが見事に決まります!
一方のRYUGENも、徐々にボールに絡めるようになり、シュートを立て続けに放ちますが、僅かに枠を外れたり、強烈なシュートもGKの正面に飛ぶなどで、ゴールを決める事が出来ません。
がしかし、試合は3vs1で、RYUGEN擁するイタリアが勝利しました。
その後、大きい少年達は、第2試合に臨みます。
SHOKI擁するアルゼンチン対TAKUKI擁するウルグアイの対決です。
SHOKIは再び左サイドバック、TAKUKIはトップの位置でプレーします。その為、両者は随所で、直接マッチアップを見せました。生まれ年は違うとも、日本では学年は一緒の小6同士。意地と意地がぶつかり合います。しかし、接触プレーでの力強さはSHOKIが上。自分の体をしっかりと使って、ボールを自分のものにするSHOKI。一方、ついつい足だけでボールを取ろうとするTAKUKI。やや逃げ腰とも取れるルーズボールに対する姿勢は、今すぐにでも鍛え直す必要がありそうです。
試合は2vs 0でアルゼンチンの勝利です。
一方、ブラジルvsフランス。ITSUKIvsKOSHIRO・SHUNです。実は、ITSUKIとKOSHIROは幼馴染み。インドに住む前、ITSUKIは愛知に住んでおり、KOSHIROと共に、名古屋グランパスのスクールで一緒に汗を流した仲。久しぶりに再会した2人は今、スペインで一緒にボールを追いかけています。
試合は接戦の末、値千金のゴールを守ったブラジルが勝利!これでブラジルは2連勝、逆に、フランスは2連敗です。
さぁ、視線をミニミニ大会へ移します。
そこでは、イタリアvsスペインの2試合目が始まっています。
先程の試合では、ゴールは決めたものの、チームは敗れてしまったRYUSEI。一方、チームは勝ったものの、自分自身は決定機でなかなか決められなかったRYUGEN。それぞれの思いを胸に、再び、15分ハーフで合いまみれます。
お互いのチームには、なかなかの実力者達が揃っています。いずれ、バルサやエスパニョールでプレーするようになる逸材達でしょうか!?徐々に、彼らの素性も探って行きたいと思います。
さて、試合はRYUGEN擁するイタリアが猛攻を仕掛けます。そして、左サイドでボールを受けたRYUGENが中へ切れ込んで右足一閃、ゴーーーーーーーーーーーール!!!待望の得点を掴み取ります!
一方、RYUSEIも相変わらず、積極的にプレーに関わろうと奮闘しています。そして、徐々にスペインは盛り返し、立て続けにゴールを奪います。
試合は、3vs1でスペインの勝利。先程の試合の汚名を返上する事に成功しました。
さぁ、そして大きいお兄ちゃん達は、この日の最終戦。
まずは、フランスvsアルゼンチンです。
ここまで2連敗のフランス。メンバーが揃っていながら、なかなかチームとしての強さに繋がっておらず、勝ち星に恵まれていません。負けるのが大が100個付くほど嫌いなKOSHIROのご機嫌は急こう配に斜めです(笑)。
試合はお互いの意地がぶつかる形で、攻めの押収となります。
そんな中、左サイドバックの位置から果敢なオーバーラップを見せたSHUN。フォデとのワンツーでライン際まで抜け出した彼からの鋭い左足のセンターリングを、相手DFがクリアーミスしてオウンゴール。得点を誘発したSHUNの下に、チームメイトが集まります。
一方、KOSHIROもどこのポジションを任されているのかわからない奔放ぶりで、センターフォワードの位置に陣取り、味方から縦の楔のボールを受けると、SHOKIを背負いながら、自分の体でブロックしながら時計回りに反転、そのままターンを利用して左足でゴール右隅に見事なゴール!サムライ少年の活躍によって、ようやく実力チーム、フランスが乗って来ました。
アルゼンチンも奮闘するも、結果は3vs 4でフランスの勝利。待望の初勝利を挙げました。
一方の試合では、2連勝中、ITSUKI擁するブラジルとTAKUKI擁するウルグアイが対決、痺れるような接戦は、1vs2でウルグアイが勝利。これで、ブラジルとウルグアイが2勝、アルゼンチンとフランスが1勝ずつで、初日を終えました。
余談ですが、この日までに、皆にはスペイン語のテストを実行致しました。
20問ずつ問題を出し、何点取れるかをチェック致しました。当然ながら、1年間バルセロナに住んでいるKOSHIROの問題は、数十倍レベルを上げて行いました。
結果、最も多くの点数を獲得したのは、19点のSHOKIでした!!!普段の行動を見ていても、きっちりとしている彼らしく、事前の準備もしっかりこなして来たようです。但し、その知識を、まだコミュニケーションの手段として活かしていないのも事実。スペイン人少年達とスペイン語でじゃれ合う彼の姿を、早く見てみたいものです。
そして、第2位には、流石の住人KOSHIROと、そして何と最年少のRYUSEIが18点で食い込んで来ました。RYUSEI!お見事です!!!その他、ITSUKIが16点と奮闘していました。
そしてここで、皆には恒例の!?“ ¿Cómo se dice esto en español ? ゲーム”が出題されました。
¿Cómo se dice esto en español ?(コモ・セ・ディセ・エスト・エン・エスパニョール)、「これ、スペイン語で何て言うの?」と何かを指さしてこのフレーズで聞く。こうして、異なる5人の少年に、一人一つずつ、異なる物を質問すると言うもので、2日後までに、そうして仕入れた5つのスペイン語を、発表すると言うものです。
ともすれば、言葉の通じる、日本人同士で固まってしまいがちな状況の中で、そうならないように、仕掛けてみました。
明後日までに、どんな言葉を仕入れてくるのか、楽しみです!