作陽高校サッカー部 スペイン遠征5日目。
昨日深夜にVillarrealに到着した一行は、7時にホテルで朝食を取った後、徒歩にてVillarrealの新しい練習場Ciudad Deportiva PAMESAへ。ホテルからすぐそこに会場は見え、徒歩3〜4分の距離にあるものの、線路と高い柵が連なっている為、線路を越えるトンネル経由で徒歩20分。
今回は、3日間に渡り、午前中はVillarreal CFの指導者によるクリニック。今回担当してくれるのはJoanを中心としたチーム。この日は、2種目のメニュー、ロンドと引いた相手に対する攻略と、カウンターに対するリスクヘッジを意識したトレーニングが行われました。そこでは、SAKUYO Aがコンセプトを理解し、短時間ながら、改善の後が見られました。
その後、VillarrealのホームスタジアムEstadio de Ceramica(旧Madrigal)のツアー見学。僅か5万人の街に、リーガを代表するクラブが存在する事に、作陽メンバー達は感嘆していました。
そして午後は、Villarrealから更に1時間程南下して、Levante UDとのトレーニングマッチへ。
途中、Valenciaの街に立ち寄り、Valencia CFのホームスタジアム、メスタージャを外から眺め、また、現在建設中(※財政的な問題で現在は工事が中断中と言われている。)の新メスタージャも次いでに眺め、Levante UDの練習場のあるBuñolの街へ。
Levante UDも7面のフットボールコートを持つ素晴らしい環境を有しています。昨年、Levanteのトップチームはリーガ1部から2部へ落ちてしまいましたが、今シーズンは2部の首位に就けており、このまま順調に行けば、1年で1部に戻って来る事でしょう。
最初に試合をしたのはSAKUYO A。対戦相手はLevante のユースC、すなわち、同じ歳のチームです。
同チームはバレンシア州3部リーグで現在首位に就けています。
試合は、Levanteがスペインのチームらしからぬ、縦にガンガン蹴って蹴り込み、セカンドボールを拾う展開でSAKUYOのディフェンスラインを脅かしています。また、左利きの21番が自由に動き回り、要の選手としてリズムを作っています。
お互い、中盤でタイトにプレスを掛け合い、相手に自由にさせない攻防が続き、なかなか決定機まで繋がって行きません。 前半、風上に立ったSAKUYOは、徐々に相手を押し込むようになり、徐々に押し込んで行くも、ゴールを奪うまでにはいきません。
0−0で折り返した後半、最初に先制ゴールを決めたのはSAKUYO。87番の1トップのTAIGAがペナルティーエリアで倒され、これを自ら決めて、SAKUYOがリードを奪います。
しかし、Levanteも黙ってはいません。より前に圧力を掛け、縦に速い攻撃にシフトして行きます。そんな中、縦の浮き球のボールを81番の右センターバック、HADA IPPEIが痛恨の浮き球処理ミス。抜け出したボールを相手FWに叩き込まれ、あっさりと同点ゴールを奪われてしまいます。それまで、相手の縦パスを鋭い出足で前でカットしたり、組み立ててでは巧みなボール捌きで安定感をもたらし、後ろから声でもチームを鼓舞していたチームの貢献者だっただけに、もったいないシーンでした。こうしたセンターバックとしてやってはならないミスを無くせば、彼はもっと良いセンターバックになるはずです!
しかし、ここまで2連勝中ですっかり自信を得たSAKUYO Aは、そんな事ではへこたれません。勝ち越しを狙う中、左サイドを縦に突破した58番のKOTAROが左足を一閃。強烈なシュートが見事に決まり、SAKUYOが再びリードを奪う事に成功します。
SAKUYOは、体格で劣るものの、球際を激しく戦い、ボール奪取の攻防で決して引けを取っていません。91番のボランチMORITA KEISUKEは、細身の体ながらも、体を張り、相手に厳しくチャージし、時にはボールを奪い取り、時には相手に好きにプレーさせないプレーで中盤で存在感を見せます。
ところが終盤、明らかにファールの相手の激しいチャージを審判に取ってもらえず、更にはその展開されたボールがオフサイド気味も、それも取ってもらえず、最終的にそこからのクロスにゴール前で合わされ、同点ゴールを奪われてしまいます。自分たちでプレーをジャッジし、一瞬出来た隙を突かれた形の失点。ここはアウェイという事も考え、徹底的に目の前のプレーに集中すべきでした。
2−2。ここで試合が終わるかと思いきや、このSAKUYOはちょっと違います。何とか勝ちたい!その一心で全員が一致団結し、猛攻を仕掛けると、ゴール前での攻防から、最期は69番のSHIGEが流し込み、勝ち越しゴール!
その後はバチバチにパワープレーを仕掛けて来るLevanteに対し、体を張り、気持ちを前面に戦ったSAKUYOイレブン。3−2で見事に勝利を収めました!
続いてはSAKUYO FUTURO対Levante 2001、SAKUYO LUCHA対2002が同時にキックオフです。
SAKUYO FUTUROにとっては、2001生まれの中3のチームは1歳年下のチーム。同チームは現在バレンシア州U15リーグでビジャレアル、バレンシアに次ぐ3位に就けています。
相手は1歳年下。しかし、この日のSAKUYO FUTUROは、Levanteと言うチームに名前負けしたのか、昨日の大敗を引きずっているのか、立ち上がりを緩く入ってしまいます。とにかく、球際が戦えていない。1歳年下とは言え、体格は相手の方が上。そして、技術、スピード、フィジカル、あらゆる面でも相手が総合力で数段上である事は、早くも序盤で浮き彫りになって行きます。そして、相手を仕留めてやろうという気迫、野獣のような狡猾さ、アグレッシブさも相手が上。こうなると、完全に試合はワンサイドゲームとなってしまいます。しかし、後者の要素は、年上としての意地も含めて絶対に負けてはいけない面。が、残念ながら、この日のSAKUYO FUTUROにはその要素でも完敗の状態でした。
ボールを持っても厳しくプレスされると簡単にボールを奪われ、ピッチを広く使われて、ただ徒らに追い回す事を強いられるばかり。そして、ちょっとでも隙を見せると鋭い縦パスが中央、サイドに次々と通され、スピードのある前線の選手達がチーターの如く、SAKUYOゴールへ襲いかかります。
試合後、SAKUYO FUTUROの選手達が「あんな中3、日本ではあり得ない。」と語っていたように、これまでのフットボール人生の中でも、異次元を体験させられたのかもしれません。しかし、そこで完全に気後れしてしまった事は、大いに考えなければならない点です。
Levanteは、隙あらば、最終ラインからでもスピードに乗ったドリブルでSAKUYO陣内に侵入し、SAKUYOのディフェンス陣を混乱させます。強烈なミドルシュートも含め、前半は3失点。しかし、相手チャンスの数は、その3倍はあった事も加えて置きましょう。
ハーフタイム、中野コーチからの喝が効いたのか、前半よりも皆んな声を出し、球際も体を張って闘うようになって来ました。それによって、Levanteのチャンスの数も減り、後半は暫く0−0の状態が続きました。最後はコーナーキックから4失点目を喰らい、0−4で敗れる結果となりましたが、前半と後半でファイティングスピリッツは明らかに違ったSAKUYO。そして、それに比例するように、スコアーも変わりました。この事が何を意味するのか、選手達はしっかりと受け止めて欲しいと思います。
一方、SAKUYO LUCHAは、Levante2002、すなわち、2歳下との対戦です。しかし、それでもLevanteはLevante。体格も、SAKUYOと同等かむしろ上!
試合前、LUCHAからは気合い、やってやろうという気迫が感じられないの不安な空気。
前半、開始から試合を支配したのはLevante。中盤からサイド攻撃への展開でLUCHAを苦しめます。一方LUCHAもカウンターからチャンスでキーパーとの一対一を迎えるも、スーパーセーブでゴールチャンスを逸します。すると、コーナーのチャンスからLevanteに先制されます。前半はLevanteに追加点のチャンスを多く作られるも、運にも恵まれ、前半は0−1で折り返す。
後半、メンバーを大幅に入れ替えてきたLevanteが中盤の支配を強化する。中盤からの繋ぎからスルーパスで開始早々に2点を追加すると、LUCHAはやや集中力を切らしたか、守備の裏を簡単に取られ始めてしまいます。同20分にPKを決められて0−4とされると、LUCHAは前線に放り込む戦術に変更してアグレッシブにいくも、逆に連続失点してしまう。終わってみたら0−7の完敗。相手の中には、2003年生まれの中1も混ざっていたと言う。世界レベルを大いに感じた試合となった。