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バルセロナ発
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目指せ!バルサの10番!
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【第9章】リーグ戦の巧妙(その3)
皆さん、こんにちは。バルセロナの植松です。
今回は、リーグ戦とトーナメント戦の戦い方の違いに触れたいと思います。
トーナメント戦は負けたら終わりの、いわゆるノックダウン方式です。
四の五の言っていられない。なりふり構わぬ勝利が求められるのです。
だって、どんなに良いフットボールをしていても、どんなに美しいフットボールをしていても、
負けたら終わりなのですから。
その為、どうしても目先の勝利にこだわったプレーを選択しがちです。
すなわち、リスクを回避してディフェンスラインから一気にロングボールを前線に送り、
フォワードとディフェンダーとのランニング勝負。
もしくはそこでの競り合いのこぼれ球を如何に早く拾ってシュートまで持って行くかという展開になりがちです。
べつにここでそうしたダイレクトなフットボールを批判するつもりはありません。
しかし、勝ちに急ぐフットボール(サッカー)は、得てして確立を無視した一か八かのプレーになりがちですし、
そこにはチーム全員で作って行くフットボール、パスを繋いで、
皆でボールを運んで行くフットボールにはなり難い訳です。
数年前、野洲高校が“セクシーフットボール”というパスを巧みに回すサッカーで全国に旋風を巻き起こしました。
Jリーグではガンバ大阪が、パスを丁寧に回すサッカーを展開しています。
そして、ここスペインでは、バルサが圧倒的なボールポゼションでボールを操り、試合を支配し、
攻撃的なフットボールを繰り広げています。
これらのチームに共通して言える事は、“パスサッカー”。つまり、ボールを大事にするサッカー、
チーム全員でしっかりとパスを繋いで相手を崩していくサッカーです。
そして、そうしたサッカーは得てして人々を魅了し、楽しませてくれます。
しかしながら、トーナメント戦では、どうしてもなりふり構わぬ勝利が最優先される為、
人々を魅了する等と言う、悠長な事は言ってられなくなってしまいます。
負けたら終わりですから。
一方、リーグ戦は勝とうが負けようが、明日があります。年間30試合以上の舞台が約束されています。
もちろん、上位に食い込む為にも勝利は重要です。皆、勝ち点3を目指して戦う訳です。
しかしながら、負けたら終わりという“恐怖”はありません。
その為、チームは年間の30試合以上を戦う為のチームコンセプト、チーム戦術の下、
チームの目指すプレースタイル、理想を追求する“余裕”が持てる訳です。
そして、そうした“余裕”こそが、実は育成年代には必要なのでは無いでしょうか!?
負けても明日がある。何故負けたのか。何がいけなかったのか。どうすればよかったのか。
そうした反省の下、それを次に試す場がある。それこそが、リーグ戦のメリットだと思います。
そうやって切磋琢磨し、経験値を上げて行く事が出来るのが、リーグ戦の良さだと思います。
また、ホーム&アウェイの戦いであれば、1度敗れた相手に対し、修正し、対策を練り、
汚名を挽回するチャンスもあります。
負けたら終わりという、何処か悲愴感を漂わせながら戦うトーナメント戦よりも、
より理想に近づける“余裕”のあるリーグ戦こそが、育成年代には必要なのでは無いでしょうか!?