先週末、エスパニョールのAlevinBがリーガチャンピオンになりました。1998~1999年で構成されるAlevinリーグ。お兄さん格の1998年チーム、AlevinAが1部リーグを戦う中、AlevinBは2部リーグを戦っています。そして、2つあるグループの中で、グループ2に所属するエスパニョールのAlevinBは、残り4試合の段階で、26戦24勝2分、得点103、失点15の勝ち点74で、圧倒的な強さを示し、リーグ優勝に輝きました。名誉ある1部リーグには、お兄さん格のAlevinAが所属している為、1部リーグに上がる事は無いのですが、2部リーグの他の1998年生まれの年上の中でも、驚異的な強さで優勝したのですから、ミゲル監督率いるAlevinBは恐るべしです。ちなみに、もう一つの2部リーグ、グループ1に所属しているバルサのAlevinBが6位に苦しんでいる事からも、エスパニョールの偉業が分かると言うものです。
特に、Alevinの1年生は、先シーズンまでのフットボール7(7人制フットボール)から、フットボール11に初めて移行するシーズンとなります。ピッチが大人と同じ広さになり、ゴールが大人と同じ大きさになり、ボールも4号から5号球に変わります。そして、2部リーグともなれば、1部に入れなかった、Alevin2年生で構成される年上の強豪チームがひしめいています。そんな中での優勝は、本当に評価すべきことなのです。
そしてこのチーム、同じ歳のバルサやレアル・マドリーを別の大会で破っている事から、実質、スペインのナンバー1の1999年チームと言えるかもしれません。そんな環境で挑戦出来ているKAITOが本当に羨ましい!!!
この日の練習は、30分間、様々なウォーミングアップのメニューが行われた後、2vs2の練習が行われます。最初は2vs1の場面からスタートし。後ろから2人目のディフェンスが追いかけてくるというものです。すなわち、数的有利である2vs1の間に、素早く攻め切るという速攻の練習です。練習では、固定されたペアーが形成され、KAITOは、線は細いものの、チーム上位のテクニックを誇るポールと組みます。
攻撃と守備を交互に繰り返すトレーニング。ドリブルする選手に対し、もう一人の攻撃の選手は、素早く左右のどちらかに開き、オフサイドラインぎりぎりで、パスを受ける動きを求められます。ドリブルする選手は、パスをするのか、と見せかけて自分で勝負するのか、対峙する守備の選手のポジション、そして、後ろから追い掛けて来るもう一人のディフェンダーを意識しながら、決断をする必要があります。
一方、守備では、後ろで構える選手が、味方の戻りを待つようにして、相手の攻撃を遅らせるような対応、尚且つ、パスコースを切って、ドリブルで外に追いやるような動きが求められます。
KAITOはまずはドリブル役からの攻撃です。相手に追いつかれないように素早くドリブルで持ち込みながら、突進します。しかし、一瞬、ボールが足から離れた瞬間に瞬時に間合いを寄せられ、ボールを奪われてしまいます。
続いての同じ役割の際には、同じミスをしないよう、細かいボールタッチでボールを前に運び、ポールへパス。しかし、これは、パスコースをカット出来る間合いで適度に空けていた相手ディフェンダーに悠々とカットされてしまいます。KAITO、あっさりと相手の罠に引っ掛かってしまいました。
更に今度は同じ役割の際には、パスコースが完全に切られている為に、自分でドリブルを選択。スピードが持ち味のKAITOは、そこからシュート体制に入りますが、相手もスピードでは負けていません。素早く寄せられ、シュートブロックされてしまいます。
なかなか、この練習の中で良いパフォーマンスを見せる事が出来ないKAITO。相手を如何に騙すかが問われるフットボールの中で、駆け引きのアイデアと技術が不足しているようです。
KAITOのプレーには、良い意味での、相手や味方を驚かすプレーがありません。意表を突くプレーが無いのです。パスする時は、「パスだな。」と読めるプレー。ドリブルの時は、「ドリブルだな。」と読めてしまうプレー。そう、彼のプレーは素直過ぎるのです。KAITOはとても良いヤツです。しかし、ピッチの上では、激しいファイターとなることが必要であり、そして、相手を騙す巧妙さを合わせ持つ事が必要です。先程のプレーでは、ドリブルに行くと見せかける仕草やステップを踏むだけで、ポールへのパスは通り易くなったでしょう。また、自分で行ったシーンは、少しでも、ポールへのパスを出すというフェイントをかまして置けば、相手の寄せはその分遅れ、シュートを打つ事が出来たはずです。そうした、個人戦術・技術が、このAlevinBの猛者達の中で圧倒的に欠けている点として浮き彫りになりました。
最後は7vs7のミニゲーム。ここでは、3-1-2の2トップに入ったKAITO。懸命に前からプレスを掛け、走り、そしてマイボールになったらスペースへ動き、「へい!」と声と手振りでボールを呼び込むKAITO。
しかし、時折もう1人の黒人FWルイス(仮名)や、1トップのテクニシャン、ダニとポジションが被ってしまいます。ボールをウォッチするあまり、味方のポジションを感じ取る事が出来ていません。
また、球際の激しさでも、まだまだ軽い。本人も、第三週目の課題として、「体で負けない」「取られたら取り返す」「簡単に抜かれない」「シュート」を挙げていましたが、まだ、それを真に実行出来ていません。
そして、右サイドを抜け出した絶好のシュートチャンスでは、ボールをミートする事が出来ず、右足のアウトに掛かって、シュート回転が掛かり、ゴール右に外れて行きました。
この日は、多くの課題を改めて浮き彫りにする形となったKAITO。レベルの高い周囲。スペインに来た頃は、「こいつらやばい!」「レベルが高くて面白い!」と言っていたKAITOですが、そうした余裕が無くなり、傍から見ていると、アップアップ感が感じられます。それでも、本人は「ここで喰らい付いて行けるよう頑張る!」と前向き発言。その気持ちは、今日の練習でも、”声”という形で表れていました。
さぁ、彼の挑戦も2週間が終了、残り半分となりました。
一つ一つの課題に真摯に取り組み、一つ一つ成長して行って欲しいものです。
by Keita Uematsu
Uematsuさん、ありがとうございます。
本当にすばらしい、これ以上ない様な環境でできること
感謝しております。本人もわかってますよね?
今回のスペインでは「自分に足りないものをはっきりさせてくる」というのが
1つの大きな目的なので、1日1日それが明確になっているのは、
とてもすばらしいことです。
日本で普段言われていることが、
どんどんハッキリと浮き彫りになってきていると、
更新いただく度に思っています。
今日なども、どれもが
「まさにその通り!」「あぁ、やっぱり…」です。
本人もそれを心底実感して、
このままではいけないと本気になってくれるといいのですが…
それにしても、上の写真の日本の少年、硬いなぁ。
もとゆるめ~!
投稿情報: kaitochichi | 2010/04/27 17:51