この日は、KOIにとって最初の練習試合。ここまでKOIはクラブの事情により、オスピタレットの2軍グループでトレーニングを積んでいました。そして、この日もそのチームでの試合。より高いレベルを目指して海を渡って来たKOIにとって、やや拍子抜けした感のあるここ1週間。「もっと上でやりたい!」そう感じているKOIにとって、この試合は、それを周囲に認めさせる為にも、重要な試合となりました。
1-4-2-3-1の右ウイングで先発出場したKOI。しかしながら、味方のボールを上手く引き出す事が出来ず、なかなかボールに触れません。ボールを呼び込む声出し、ここで欲しいと言う主張。そうしたものが殆ど見られない為、偶に飛んで来るボールを受ける程度。時折ボールを持つと、味方を使ってシンプルにプレーするも、周囲と技術も意図も合わず、なかなかいい形に持って行けません。相手のMolletenseも、KOIに簡単にはプレーさすまいと、ファールででも止めに掛かって来ます。
0-0で折り返した後半、KOIは今度は1-4-3-3の中盤のダブルボランチの右に入ります。後半、やや中盤が間延びする中、スペースと共にボールを頻繁に受けるようになると、徐々にリズムを掴んで行きます。
そんな中、オスピが先制点を上げます。
すると、今度は中盤でフリーでボールを受けたKOIが、そのままスルスルとドリブルで駆け上がり、まだ35m程の距離があるところからロングシュート!
ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーール!!!
これが見事に決まります!
皆から祝福されるKOI!
ピッチ上で自分のプレーを表現し、それが成功する度に、周囲の信頼は増し、周りはKOIにボールを預けるようになります。
そして、KOIにボールが渡ると、周囲が連動したようにボールをもらう為に動き、「KOI!KOI!」とボールを呼び立てます。
すると今度は、ボランチの位置から最前線に駆け上がったKOIにゴール前でボールがこぼれ、これをペナルティーエリア内で一人かわし、シュート体制に持ち込もうとしたところで相手DFにファールを受け、倒されます。
PK。
周りの選手が蹴りたそうにしている中、自分が掴んだチャンスは自分で蹴るとばかりに、KOIがキッカーを主張、それが受け入れられ、彼が蹴る事に。
ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーール!!!
落ち着いて右隅に流し込み、オスピがリードを広げます。
その後も積極的にミドルシュートを何度も放つKOI。
試合はMolletenseの追い上げを2点に抑えたオスピタレットが、2-3で敵地で勝利を収めました。
「俺の居場所はこんなところじゃない。」その気持ちを試合でぶつけたKOI。
それが実り、明日からは1軍での本格トライアウトがスタートする事になりました。
気持ちが出てくれば、たどり着くでしょう。
投稿情報: 鬼 | 2012/06/03 17:42