湖の畔にたたずむ街、Banyoles。今日からいよいよ、本格的にエスパニョールキャンプのスタートです。このキャンプを指揮するのがエスパニョールのカンテラ(下部組織)を率いる監督の一人、David Fernandez。彼は、U12以下のスペイン年間最優秀監督に選出され、現スペイン代表監督のVicente del Bosqueから表彰を受けるなど、育成年代では名を馳せている存在。
その為、今回3週に渡って行われるキャンプの先週(第2週)には、90名以上の少年達が集まりました。そして、今週は人数こそ50数名と先週よりも少ないものの、何と言ってもこのキャンプの売りは、その20%に当たる10名前後が、バルサやエスパニョールのカンテラの選手であるという事。David Fernandezを頼って、かなりレベルの高い面子が揃うため、必然的に、レベルの高いキャンプとなる訳です。
この日、午前の練習では、5つのグループに分かれ、1999~2001年の3学年だけで4グループ分が形成されました。そして、2002~2004年の3学年だけで1グループが形成されました。各グループ10人前後でのトレーニングです。この日は、シュート系のメニューで主に形成され、ドリブルシュート(もちろん、実戦を想定し、ディフェンスが背後から襲ってくるので、素早いフィニッシュが求められます。)、センターリングシュート、パスコンビからのシュート、対人を突破してのシュートなど、様々なパターンのシュート練習が行われました。ここで、評価を上げていたのがSHOKI。2年前に参加した時には、消極的なスタンスに終始してしまった為、パッとした働きが出来なかった彼ですが、今回のSHOKIは一味もふた味も違います。屈強なフィジカルから放たれる左足の強烈なシュートに対し、コーチ陣からは「Muy bien ! SHOKI !!!」とお褒めの言葉が飛び交っていました。
9時半からのおよそ1時間半のトレーニングを終え、少年達はキャンプ場内のプールで火照った体を冷やします。やっぱり少年達はプールが大好きです!!!
昼食をはさみ、しばしの休憩を取った後、16時半から、午後のトレーニングがスタートです。
ここでは、お兄ちゃん組は7~8人1チームの6チームに分かれ、ゲームが行われます。SHOKIとKYOTAはそれぞれのチームに分かれ、SHOKIは主に2センターバックの左、KYOTAは左サイドハーフの位置でプレーしていました。
一方、RIKU、TAKUMI、SHUTOの3人衆は、この日は10人が参加する1vs1のチャンピオンシップ選手権に臨みます。ルールは、1部リーグから5部リーグまである8 x 4メートルのグリットの中で、ミニゴールを置いて、4分間、ひたすら1vs1。より多くのゴールを奪った方が、一つ上のリーグに上がる事が出来、負けた方が1つ下のリーグに落ちる事になります。これをおよそ10回戦程繰り返し、1位~10位までの順位を決定しようと言うものです。
抽選の結果、いきなり1部リーグからスタートする事になったRIKUは、しばらくは王位の座を堅持します。が、実力で1部リーグまで上がって来たメンバーは、流石に上手く、速く、強く、そして激しい!!!球際の攻防では、RIKUは何度も足を削られ、終いには痛さのあまり、泣き出してしまいます。「あいつ、スゲー足蹴って来る!」普段、日本ではあまり削られる事が無いのか、戸惑いを見せるRIKU。しかし、スペインでは、レベルが上がれば上るほど、激しい攻防が繰り広げられ、その結果、偶然、もしくは時には意図的に、削られる事は珍しくありません。真剣勝負の戦いの舞台では、綺麗事は言ってられません。
そんなRIKUは、しばらく戦意喪失。ベンチで休む事になりました。
そんな中、抽選の結果、5部リーグからスタートする事になったSHUTOとTAKUMI。共に、4部や3部に上がっては、また4部や5部に落とされると言う展開が続きます。TAKUMIは足技の技術はいいものを持っているものの、相手のパワーやスピードに付いて行けず、失点を繰り返します。一方のSHUTOは、周囲のレベルの高さに、一杯一杯の様子です。しかし、SHUTOは時折粘り強いディフェンスで意地を見せる事があります。まだまだ技術が未熟なSHUTOは、こうした“頑張り”だけでも、常に発揮して行きたいところです。
そんなSHUTOは、一時期2部リーグまで上がったものの、最終的には最終戦、5部リーグで敗れ、屈辱の最下位となってしまいました。
一方、途中から復帰したRIKUは、5部からの再スタートと言う事もあり、上位リーグに進出する事が出来ず、最後は4部リーグで敗れ、9位と言う結果に終わりました。
そして、最後に笑ったのは、この人、TAKUMIです。序盤は簡単に失点を喫していたものの、徐々に粘り強いディフェンスで簡単に相手にゴールを許さない術を習得して行くと、自分がボールを持った際には華麗な球さばきでひょいっ!ひょいっ!と相手をかわし、ゴールを奪って行きます。そして、最後は何と、初めて到達した1部リーグでの試合がこの日の最後の試合となり、この勝負に見事3-1で勝利!1vs 1チャンピオンシップを見事、制しました!!!
さて、視線をお兄ちゃんグループへ移しましょう。
ここには、バルサやエスパニョールのカンテラの選手がやはり抜群の存在感を見せ、上手さ、速さ、激しさで素晴らしいプレーを連発しています。そんな中、「レベル、超高過ぎます。」と練習後に弱音を吐いていたKYOTA。ちょっとでもボールコントロールをミスするとがっつりとボールを奪われ、ちょっとでも脇の甘いドリブルをしたもんには、一瞬にして体を入れられ、ボールを奪われてしまいます。そんな隙を見せられないハイレベルの空間の中で、KYOTAはせめて、周囲に迷惑を掛けまいと無難なプレーを懸命にこなします。いつものスルスルドリブルは影を潜め、1対 1の仕掛けの場面でも、直ぐに“逃げ”のパスを選択してしまいます。どうやら、かなり気遅れしてしまっている様子です。今後がちょっと心配です。
そして、最も残念な結果となったのが、SHOKIでした。今回のキャンプ参加者の中でも、最年長と言う事もあり、そして、2年前の屈辱をバネに“今度こそ!”の気持ちでやって来たSHOKIは、その取り組み方に非常に良いものがありました。積極的にスペイン語を覚え、スペイン人達とコミュニケーションを取ろうと試み、そして、何よりもプレー自体も、2年前よりも遥かに自信を持って臨めている様子が伺えていました。そんな充実したキャンプ生活を送っていたSHOKIに、悪夢の瞬間が訪れます。
この日、試合でセンターバックの左を務めていたSHOKIは、相手が右サイドを崩してセンターリングを上げて来た場面で、自分の頭上を越えようと言うクロスボールに対し、しかし、逆サイド、背後からの相手の気配を感じ、絶対にシュートに持ち込ませない!と言う気持ちの一心で、無理な体勢ながらも斜め後方にジャンプを試みます。しかし、この無理な体勢が災いし、着地でバランスを崩し、肘からグラウンドに落ちてしまいます。うずくまるSHOKI。試合から外れ、直ぐにアイシング。しかし、暫くしても、その痛みは一向に癒える様子はありません。
結局、病院へ行く事に。レントゲン検査の結果、何と、骨折。。。とは言え、単純骨折で、尚且つ、肘の部分の骨が少しだけ欠けてしまった、いわゆる骨欠。医者からは、「自然にくっつく可能性があるから、6日後には日本に帰る訳だし、手術するかしないかは、様子を見た方が良いだろう。いずれにせよ、数週間は、安静にする事だ。」
何と、とても残念な結末です。意欲満々にキャンプに取り組んでいた男に、こういう結果が襲い掛かるとは。非常に辛い結末ですが、誰よりも、本人が一番、悔しい気持ちでいる事でしょう。
ANIMO ! SHOKI !!!
SHOKIくん、本当に残念です。。。(´・_・`)
真剣勝負の場面では何が起こるか分かりませんね。RIKUも脚を蹴られたくらいで泣いている場合ではありません。少々のことではへこたれない、強い精神力を養って欲しいと思います。
投稿情報: RIKU母 | 2013/07/17 03:38
2年前お世話になったりゅうせい父です。
2年前、お兄さんとしてたくさん助けてくれたSHOKI君の頑張りを応援していたのに残念でなりません。
2年前には、息子にメールを頂き、その中で過小評価されていたことを悔しがっていたことが思い出されます。その思いをもって今回のキャンプに臨んでいただけに、そのやるせなさにグッと来てしまいました。
人柄は申し分ないのはわかっていましたが、今回のレポートで、サッカー選手としての心が育っているのを感じました。慰めにもなりませんが、そういう成長を確認できただけでも有意義なキャンプと捉えられたらいいですね。
投稿情報: りゅうせい父 | 2013/07/18 03:56
このブログを通じてSHOKI君の強い意識が伝わり、
送られてくる写真からも人望のある人柄が分かりますね!!
YUTOもこんな選手に成長してくれたらな?と思って拝見しています。
これからも応援しています。 Animo!!SHOKI-Kun!!
投稿情報: Yuto母 | 2013/07/18 09:09
皆さん、いろいろなコメント有難うございます。
SHOKIにとってこれもサッカーを続けて行く為の
試練なんだと思います。
皆さんのコメントに心から感謝致します。
投稿情報: SHOKI母 | 2013/07/18 14:46