3月29日(日)
この日はバルサスクールのリーグ戦に参戦です。
YUKI、RYUYAは共に2試合で使ってもらえることになりました。
7人制フットボール。試合時間は25分ハーフです。
第一試合は2人共に同じチームで参加しました。
2人のチームは黄色の今シーズンのアウェイユニフォームで登場です。
相手のチームがホームのアスールグラナ(紺とエンジ)カラーです。
バルサのオフィシャルユニフォームを着た同士が戦う夢の!?対決の実現です。
実は試合前、2人とは賭けをしました。
“シュートを決めたら4ポイント。アシストで2ポイント。シュートを外したらポストでもクロスバーでもマイナス2ポイント。枠内に飛んだシュートはプラマイ0。最終的に0以下だったら俺にアイスを奢って貰う。+1以上だったら俺が2人にアイスを奢る”
2人「よっしゃ~!燃えて来たぁ~!!!」
さて、第一試合。RYUYAは1トップで前半のみのフル出場。YUKIは前・後半に部分的に出場しました。ところが、相手チームにはとんでもないやつがいました。その背番号8番は、ボールをもったらドリブルで1人、2人とディフェンダーをかわし、次々とゴールやアシストを決めて行くのです。でも彼はカンテラでは無く、スクールの選手です。恐らく、カンテラ予備軍的な存在なのでしょう。さて、試合は劣勢です。そんな中、スルーパスにスピード豊かに抜け出したRYUYAがドリブルシュート。ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーール!!!
ゴラッソ!RYUYA!!!
素晴らしいゴールに会場に詰め掛けたアウェイチームの父兄から盛大な拍手!
そして素晴らしい事に、スコアでは負けている為、ボールをすかさず運んでセンターサークルの中まで持って来たRYUYA。しっかりと前回の教訓が生かされています。
そして続いては前半途中出場のYUKI。
課題のデスマルケ(相手のマークを外し、こまめにポジションを変える動き)があまり出来ておらず、なかなかボールに触れません。
しかし、カウンターのチャンスからRYUYAが持ち込んでシュートしたボールをGKが弾き、そこに詰めていたYUKIがシュート!
ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーール!!!
YUKI!!!
それまでなかなか良い形でボールを触れていなかったYUKIですが、これには思わず笑顔です!
その後、RYUYAは絶好のヘディングシュートのチャンスをクロスバーの上に外してしまうなど、2人はゴールを奪えませんでした。
しかし、後半のラスト5分。それまで鳴りを潜めていたYUKIが突然、覇気を示し、切れ切れのドリブルを連発し出します。これには会場も一瞬どよめきが、、、「あいつ凄いじゃないか!」
う~ん、エンジンが掛かるのが遅過ぎです、、、
結局、試合は相手8番の独壇場で3-8と敗れてしまいました。
ちなみに賭けの結果は、RYUYAが1ゴール3枠外しで-2、YUKIが1ゴール1枠外しで+2でした。
続いて2試合目。今度はYUKIとRYUYAはそれぞれ別のチームに入って別々に試合を戦いました。
RYUYAは再び1トップの位置に入り、前線を自由に動き回ります。今回のRYUYAのチームのユニフォームはアスールグラナです。
しかし、相手もなかなか強い。激しく早いプレスに、見方がなかなかボールを前に運ぶことが出来ず、RYUYAが孤立する場面が目立ちます。それでも、ボールを持ったら鋭いドリブルで相手ディフェンスを切り裂き、チャンスメークにトライするRYUYA。見方のスペイン人の父兄からも、「行け~RYUYA!」という声が飛び交います。
そんな中、相手陣内で1人、2人と交わし、最後はGKが飛び掛って来たところを右サイドを走りこむ見方へラストパス。これを、見方が蹴り込んでゴール!ようやく1点を手にすることに成功しました。その後も何度かチャンスを掴んだものの、結局は1-4で敗れてしまいました。
賭けの結果は1アシスト2枠外しで-2でした。
続いてはYUKIの2試合目。この試合、見方にも恵まれ、試合を優位に進めるYUKIのチーム。YUKIも前を向いてボールを持てる場面が多く、得意のパスを駆使し、順調にアシストを重ねて行きます。1試合目のラスト5分の“ふっきれプレー”とまではいかなかったものの、試合全体を通して安定したプレーを発揮したYUKIは4-0の勝利に貢献、自身も2アシストを決め、+4を記録しました。
さて、憧れのバルサのユニフォームを着て、カンプノウをバックに、試合を体験する事が出来た2人。
しかし、その後、運命の判定が待っていました。
「RYUYAもYUKIも良いものを持っている。武器を持っている。試合中、その武器を発揮出来る時、2人共にキラリと光るものがある。しかし、総合的に見た時、まだまだ足りないものがある。それは例えば、激しさだったり、ボールを呼び込む声や身振り手振りだったり、戦うスピリッツだったり、戦況を読む判断力だったり、試合中の駆け引きだったり、フィジカルだったり、様々だ。2人共にそれぞれの武器にさらに磨きを掛けると共に、もっともっと試合をこなして、試合の中で勝負強い選手、試合の中でもっと良い仕事が出来る選手になって欲しい。」
すなわち、カンテラへのステップアップは無しということでした。恐るべしバルサ!やはり敷居は高かった!
2人共に良く頑張りました。しかし、結果は結果として受け止めるしかありません。世界中のサッカー少年なら誰もが入りたいバルサのカンテラ。その門戸の狭さ、厳しさは本物でした。
さて、そこで2人はある決断をしました。
憧れのバルサのお膝元でプレーするのは楽しい。だけど、バルサスクールはあくまでもスクール。2人が求めている手応えのあるがあるわけではありません。そして、バルサのカンテラで残りの1週間やれないのだとしたら、もう1週間もスクールでの練習となる。
2人には、その前の2週間で得た“あの感触”が残っていました。
エスパニョールのカンテラで得た、あのアップアップになりながらも、高いレベルに囲まれ、全力でぶつかって行ったあの感触が。
「エスパニョールのカンテラでやりたい」2人が出した答えでした。憧れのクラブよりも、より高いレベルでやらせてくれたエスパニョールに、2人の気持ちは傾いていました。
より上手くなる為に、より世界のフットボールを体感する為に来た2人だけに、流石の判断です。2人の小さな日本のサムライは、正しい選択を選んだと思います。
さぁ、気を取り直して、最後の1週間が始まります!
by Keita Uematsu