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バルセロナ発
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目指せ!バルサの10番!
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【第6章】5歳から公式戦が始まるスペイン
皆さん、こんにちは。バルセロナの植松です。
今日は、サッカー大国スペインの中でも、育成環境のレベルが高いとされる、
カタルーニャ州のフットボール環境をご紹介します。
日本では、ホーム&アウェイのリーグ戦、16〜20チームが1つのグループに入っての公式戦は、
プロやセミプロの特権のような感がある。
しかし、スペインではそうではない。
彼等は、5歳や6歳、遅くとも7歳ぐらいから公式戦として、リーグ戦を戦い始める。
1つのブロックに16チームがひしめき合い、ホーム&アウェイで年間30試合の公式戦を戦うのである。
つまり、プロのリーガ・エスパニョールと何ら変わらない構造がそこにはあるのである。
7歳まではプレ・ベンハミン(Pre Benjamin)という特にレベル分けされないカテゴリーがあり、
カタルーニャ州だけでもおよそ30のグループがあり、そこに16チームずつが登録して年間30試合の公式戦を戦う。
すなわち、7歳以下のチームが同州だけでおよそ480チーム存在するのである。
プレ・ベンハミンでは、最年長が7歳と設定されているが、6歳の子も5歳の子も、
どんなレベルの子も、プレ・ベンハミンに参加する事が出来る。
そして、月から金まで週に2度程練習をし、週末の公式戦を戦うのである。
年間30試合と言えば、毎週末にリーグ戦をこなしたとして、期間にして延べ7ヶ月半を要する。
実際はクリスマス休暇や春休みを挟む為、また、開幕前の1ヶ月程はプレ・シーズン、
最後の1ヵ月はミニトーナメント戦等が行われる時期がある為、およそ10ヶ月間のフットボールシーズンと言う事になる。
シーズンは9月から10月に掛けて始まり、5月から6月に終わる。
プレ・ベンハミンのカテゴリーが終わると、今度は8歳から9歳で構成されるベンハミン(Benjamin)
というカテゴリーに進む。
ここでは、やはりカタルーニャ州の例を紹介すると、1部から4部までレベル別に分けられ、
頂点である1部での優勝を目指して凌ぎを削る事になる。
1部リーグは16チームで構成される1ブロックしか存在せず、9歳世代の憧れのリーグと言う事になる。
その下の2部リーグも、16チームによる1ブロックしか無い。
その下の3部は16チームで構成されるブロックが9つ存在し、
優勝すれば、2部に上がれるプレーオフのチャンスを手にする事が出来る。
一方、4部は実に44ブロック存在する。
すなわち、8から9歳で構成されるチームが、およそ816チーム存在し、
ピラミッドの頂点を目指して年間30試合の公式戦を戦っているのである。
大体のクラブチームはこのベンハミンというカテゴリーに2つ以上のチームを登録し、
AチームとBチーム、またはCチームという形でレベル別にチームを編成、参加している。
8歳でも上手ければAチームでプレーする子もいる。
ベンハミンの上がアレビン(Alevin)というカテゴリーで、10歳から11歳を対象としている。
このカテゴリーもベンハミン同様、1部から4部まで存在し、1部が16チームによる1ブロック、
2部が16チームによる2ブロック、3部が16チームによる15ブロック、
そして、4部が16チームによる33ブロックで形成されている。
やはりこのカテゴリーも、およそ816チームがそれぞれ年間30試合を戦い、凌ぎを削っている訳だ。
続けよう。
アレビンの上がインファンティル(Infantil)と呼ばれるカテゴリーで、12歳から13歳の少年達が
年間30試合のリーグ戦を戦う事になる。
そして、下のカテゴリーと同様に、ここでも1部から4部まで分かれ、1部が16チームによる1ブロック、
2部が16チームによる2ブロック、3部が16チームによる14ブロック、そして、
4部が16チームによる33ブロックで形成されている。
すなわち、この世代もおよそ800のチームが、年間30試合のリーグ戦をそれぞれ戦っているのである。
そして、インファンティルの上、カデテ(Cadete)でも、14歳から15歳の若者達が1部から4部に分かれ、
インファンティルと同様、1部が16チームによる1ブロック、2部が16チームによる2ブロック、3部が16チームにる14ブロック、
そして、4部が16チームによる33ブロックで形成されているピラミッド構造の中、
およそ800のチームが年間30試合を戦うことが出来るのである。
そして、育成年代最後がフベニール(Juvenil)と言われる、日本で言うユース世代だ。
16歳から18歳の世代が1部から5部に分けられたピラミッド構造の中の何処かで、凌ぎを削る事になる。
他のカテゴリーとフベニールの違いは、それまでのカテゴリーが州内だけで個別にそれぞれ運営、
組織されていたのに対し、フベニールはスペイン全土を網羅し、体系化されている事だ。
すなわち、スペイン全土を7つのエリアに分け、それぞれのエリアに16チームで構成される1部リーグを
1ブロックずつ設定している。
その下の2部リーグは、スペインの全17州がそれぞれ持つ最上リーグを、それに当てている。
そこからは各州が運営する3部、4部、5部リーグへと続く。
ディビシオン・デ・オノール(名誉あるリーグ)と呼称される1部リーグには、16チームx7エリアブロックの
計112チームが在籍し、文字通り“名誉ある”リーグを戦う事が出来る。
さらには、各エリアのチャンピオン7チームが、シーズンの最後にチャンピオンシップを戦い、
全国ユース世代ナンバー1を決める事になる。
さらには、各1部リーグの上位2から3チームには、上記のチャンピオンシップとは別に、
コパ・デル・レイ(国王杯)というトーナメント戦に出場する事も出来る。
すなわち、フベニールのディビシオン・デ・オノール(1部リーグ)は、ユース世代の選手にとって
全国に繋がっている憧れの舞台と言う訳だ。
ちなみに、1部の112チームに加え、2部には17州の各最上位リーグが16から18チームで構成され、
以下はカタルーニャ州だけでも、3部リーグが16チームで構成される2ブロック、
4部が16チームで構成される9ブロック、そして、5部リーグがおおよそ16チームずつの
35ブロックで形成されているのである。
と言う訳で、スペインの17州ある内のカタルーニャ州だけに特別焦点を当てて見た訳だが、
そこから様々な感想が出てくると思う。
例えば、、、
・・・スペインでは5歳、6歳、7歳の世代で、大人と同様のホーム&アウェイのリーグ戦、年間30試合の公式戦を戦っている。
・・・いつの世代も途切れる事無く、ユース世代になるまで年間30試合を毎年戦える土壌がある。
・・・レベルに関係なく、誰もががちんこの公式戦を楽しめる環境がある。
と言った具合だ。
次回、そうしたリーグ戦の重要性を細かく紐解いて見たい。