7月16日(水)今日も快晴
今日は午前と午後の2部練習です。
キャンプもそろそろ中日、皆の顔色の中にちょっぴり疲れの色が出て来ました。
そんな雰囲気を察知したコーチのダビッは、午前の練習を若干軽めのメニューに設定しました。今日は3つのグループに分かれ、 TAIKIが年長グループ、 YOSHIKIと YURIが年中グループ、そして、 TAKUYA、 RYUYA、 KOSHIROの3人が年少グループに入りました。 1つはリズミカルに一人でドリブルしてのシュート、1つはパス交換から突然スピードアップしてのセンターリングシュート、そしてもう1つはサイドチェンジからのサイド攻撃でセンターリングシュートまで持っていくプレー。軽めとは言え、いずれも集中力と緩急を付けたスピードチェンジなどの要素が求められました。
疲れもあってか、皆、若干集中力に欠けるところもあり、 YURIはシュートの際に体が反ってしまい、その結果シュートをことごとくふかし、 TAIKIは右からの比較的プレッシャーが少ないシーンでのセンターリングを何度もミスしていました。暑さと疲れの中、ここが踏ん張りどころです。
さて、今日は少し彼らの中で生じた“少年の事情”を披露致しましょう。
事の発端は RYUYAが朝飯時に泣いていたことに始まりました。聞けば、 TAKUYAに7ユーロ盗られたと言います。直ぐに TAKUYAを呼び、状況を聞いたところ、昨日の夜に眠れなかった TAKUYAがベッドの上でユーロのコインでチャリン、チャリンと遊んでいたと言います。すると、寝ていた RYUYAが寝ぼけながらすくっと起き出し、 TAKUYAのお金をがしっと掴んで自分の財布に押し込み、そしてまた眠りについたというのです。その際に1枚か2枚が二段ベッドから落ちたらしいのですが、消灯時間が過ぎていて真っ暗だった為、また、二段ベッドの上に寝ていた TAKUYAは音を立てて探すことも、寝てしまった RYUYAを起こすこともしなかったとのこと。そして翌日、 RYUYAが掴み取った7ユーロを要求したと言うのです。 RYUYAはそれを全く覚えておらず、彼としては寝耳に水の話と言うわけです。それでも目の前で見ていた TAKUYAは「返せよ」と主張し、しぶしぶ RYUYAは7ユーロを渡したとのこと。ところが、お金を渡したはいいものの、 RYUYAはその時に財布を見た時に「小銭は最高でも4ユーロしか入っていなかった。だから10ユーロの紙幣を渡して3ユーロをもらった。でもおかしい」と言うのです。そんな様子を見ていた TAKUYAは、「もういいよ」と言って、 RYUYAにお金を返しました。
さて、なかなかの難題です。 RYUYAが寝ぼけてやったことだけに、本人は自覚をしていないわけです。仮に取ったとしても、今は4ユーロしかもっていなかった。どうやらどちらを満足させるのも、納得させるのも難しそうです。
「 TAKUYA、そして皆も聞いてくれ。絶対にお金で遊ぶな。そして人前でお金を出すな。いつも使ってるお金と違うからおもちゃに見えるかもしれないけど、立派なお金だ。お金を使う時は用事が終わったら直ぐにしまうこと。お金を盗られたって主張するなら、その前にそれを人前で出すな。そして、1、2枚落っこちたなら、 RYUYAは4か5ユーロしか最高で持っていない。残りは床を探さないと無いぞ」
さて、この問題は RYUYAが寝ぼけていた為、盗ったという意識が無いだけに、少しややこしい問題です。まずは落っこちたお金を皆で協力し合って探させ、そして落とし所を見つけていく必要がありそうです。
日本から来る子供たちはよく自分の財布を平気で人前で晒すのですが、それはスペインでは有り得ない話です。人前でお金を晒さない。出したら直ぐしまう。どうやらこの当たりから徹底する必要がありそうです。
さて、子供の事情はまだまだ続きます。
またしても主役は TAKUYAと RYUYA。2人は昼休みに同じお菓子を買い、そして大勢で卓球を楽しんでいました。 TAIKIが RYUYAのお菓子を彼の承諾を得て貰った所、それを自分のと思った(実際は未だに謎) TAKUYAが「俺の勝手に食うな」と主張。 RYUYAに断りを入れ、そして 彼からO.K.をもらっていたTAIKIは、TAKUYAから 「それは RYUYAのだよ」と言って取り返した結果、2対1でやり込められた 形のTAKUYAが隅っこで泣き出してしまいました。
そんなこんなですったもんだやっていたところ、
午後の練習の集合の合図が掛かりました。
皆それぞれ不快な思いをしながらの状態だけに、ちょっぴり心配です。
がしかし!午後は紅白戦でした。
皆「やったぁ!!!」
さて、午後の皆の様子は心配及ばず、完全にこちらの杞憂な結果に終わりました。
皆ボールを持つと、全ての上にサッカー好きゆえの喜びが来るようです。
皆、それぞれの持ち味を発揮し、精一杯ボールを追っかけていました。
ここでは、 YOSHIKIが5ゴールを決める活躍を見せると、 YURIも2ゴールを決め、“アイスおごり権”を見事ゲットしました。 KOSHIROも奮闘するも、8vs8のミニゲームでは、スペースが狭く、ドリブルで仕掛けたところに直ぐに 1人、2人と相手が来る環境に、相手にボールを奪われるシーンが目立ちました。頑張れ!最年少!
TAIKI、 TAKUYA、 RYUYAもそれぞれ1ゴールを決め、頑張っておりました。特に今日の TAKUYAは粘り強い守備とハードなタックルでボールを奪ったり、中盤の混戦を抜け出して効果的なパスをサイドに供給するなど、今までに無い一面を見せていました。 RYUYAは相変わらず、スピードに乗ったドリブルと、相手ボールになった時にしぶとく食らいつくアタックを見せ、小さい体ながらもファイト溢れるプレーを連発していました。途中、足を痛める場面もありましたが、直ぐに起き上がって続投を希望、なかなかガッツがあります。というか、本当にサッカーが好きなのでしょうね。
TAIKIも少しずつ年長グループのプレーに慣れて来たようで、「ちょうど手応えがあってやりがいがある」と頼もしい限りの一言。見方から声を出してパスを呼び込む姿勢にやや欠けるものの、静かに闘志を燃やしているようです。
そんなこんなで、試合後は爽やかな汗を拭いながら、すっかり皆元のようにワイワイキャーキャー、仲良く喋っていました。
今日書いたことはほんの氷山の一角です。また、まだまだ私の知らないところで、もっと少年達は喜怒哀楽の中で一瞬一瞬を過ごしているのでしょう。大人が聞けば大したことのない事でも、少年たちにとっては大きな事態、それなりに切実な事情なわけです。
しかし、サッカーをすることによって、いつの間にか解決しちゃっているのも事実。大人が大人の事情、大人の感覚で必要以上に首を突っ込む必要は無いのかもしれません。正すべきところは正す。しかし、子供同士で解決することだってある。その辺のバランスがなかなか難しいものです。
そんなわけで、これからも喧嘩やいざこざが沢山発生するのでしょう。そんな中、彼らが考え、成長する為にはどんな応対をすれば良いのか、こちらも考えながら対処して行きたいと思っています。日々勉強ですね。
そして、最後に、いや~スポーツって素晴らしいですね!
間違いなく、スポーツという存在が人間関係を良い方向へ導き、そして大げさでは無く、世界の犯罪減少に役立っていると思います。
by 植松 慶太