今回のバルセロナフットボール短期留学の楽しみの1つ、土曜日のスクールリーグの日がやって来ました。YUKIにとっては、過去の渡西で何度か体験している同スクールリーグですが、KAITOとKOSHIROにとっては、この日がデビュー戦となります。
まずはKAITOが第一試合に登場です。ここでは、スクールリーグの中でも、最上位に位置するレベル1のチーム、PARRAの一員として、対ARGILES戦に挑みます。PARRAとARGILESは共に昨日、金曜日に初めて練習した、1~2歳年上のメンバー達です。KAITOはいきなり、3-2-1の右ハーフとして先発です。試合は、レベル1の中でも優勝候補のARGILESのパスワークと個人技が冴えます。中でも、クリスティアーノ・ロナウドばりの姿勢の良いドリブルから力強いシュートを放つツンツンヘアー君が要注意人物です。一方、PARRAのディフェンスはそうしたタレント揃いの攻撃陣になす術無く、失点を重ねて行きます。
我らがKAITOは、最初は消えていたものの、徐々に環境に慣れて来たのか、ドリブルからパスを散らし、攻撃にリズムをもたらそうと奮起します。しかし、守備でも屈強さを見せるARGILESの前に、なかなか効果的なプレーを見せる事が出来ません。1度、左サイドから右サイドへ斜めにドリブルで持ち上がり、ペナルティーエリア内からシュートを放ちますが、ボールは力無く、ゴールキーパーに難なくキャッチされてしまいます。
一方、ボールを持った相手へのアプローチの際、“軽さ”が目立ちます。いわゆる「日本病」を、KAITOもしっかりと持ってしまっているようです。球際が弱い。こちらの少年達(ARGILESには女の子もいる)は、とにかく、レベルに関係無く、激しさがある。ボディーコンタクトを厭わない傾向がある。そこでの、粘り強さに、KAITOは大きな課題を携えています。一方、時折、相手のパスをマークしている選手の前に飛び出して2度程カットするシーンもあり、持ち味のスピードを活かせているシーンも見受けられました。
試合は1-13で完敗。自分的にも、チーム的にも不満たらたらのKAITOの表情が、そこにはありました。
続く第二試合もKAITOの出番。今度は、レベル2のリーグ戦で、ZAMORAの一員として、対CANITO戦に挑みます。
ベンチスタートだったKAITOは、途中から出場し、やはり3-2-1の左ハーフに入ります。先程の試合よりも落ち着いたのか、得意の!?手でパ
スをもらう仕草を表現してボールを呼び込み、ドリブルやパスで攻撃に絡んで行きます。そんな中、左サイドを縦にドリブルで突破したKAITOが左足で
シュート。ボールはGKが正面でキャッチしたと思いきや、股の間を抜け、後ろに転がります。すぐさま振り向いてGKがキャッチしたものの、ボールはゴール
インの判定。そうです!KAITOの初ゴールが生まれたのです!!!
もう抗議するCANITOの選手達。何やら、疑惑のゴールとなりましたが、それでもゴールはゴールです!今後の彼にとって、少なからず自信となるでしょう。
その後も、左サイドを再三ドリブルで突破し、ニアポストに当てるシュートを放つなど、徐々に自分らしさを表現出来るようになっていました。手の仕
草に比べると、まだまだ声の出は良く無いですが、それでも、時折、「ヘイ」という声が、手の仕草と同時に聞こえてくるようになりました。ゴールを決めた事
による気持ちの積極性が、声という形になって表れてきたのでしょう。
がしかし、試合は1-11で敗戦。KAITOにとっては、ほろ苦い、スクールリーグデビューとなってしまいました。
KAITO「来週に向けて、球際の強さをテーマにしたい」と、本人も課題を口にしてくれました。
続く、第三試合にはKOSHIROが登場です。
金曜日に練習参加したチーム、レベル5のAMASの一員として、SERGIO戦に挑みます。
昨日の練習でしっかりと存在感を示したKOSHIRO。監督は、3-1-2の中盤の真ん中に、KOSHIROを据えます。そのKOSHIRO。声を「へい」「へい」出しながら、ディフェンスのパス回しに顔を出すと、2トップとの攻撃に絡んで行きます。相手が3-2-1のシステムで来た為、時折、相手の中盤2枚と対峙する不利な状況も、サイドバックを上手く使い、時には強引にドリブル突破で、攻撃を牽引します。そんな中、KOSHIROが出したパスに右FWが走りこみ、切り替えした所で足が掛かりPK。当然、倒されたFWが蹴るかと思いきや、AMASの監督が、「KOSHIRO、お前が蹴れ」と指示。なんと、昨日初めて練習に参加しただけなのに、そこまでの信頼を勝ち取っているとは、恐ろしきKOSHIRO。これを右隅へ難なく決め、AMASが先制点を上げる事に成功します。すると、今度は中盤から相手DFの背後へ、ふわりと浮かせたボールを送り込むKOSHIRO。これを、走りこんだ右FWが押し込み、2点目を追加。KOSHIROのアシストです。
その後、20分ハーフの時間の経過と共に、プレーの質を落とし、雑になった感はマイナス点でしたが、完全にチームの大黒柱として、30分以上プレーしたKOSHIROの活躍もあり、チームは5-1で勝利を収めました。
続く第四試合は、KOSHIROとYUKIの出番です。今回はコルネヤのトライアウトを同時進行で進めているYUKIは、これがこの日の唯一の出場試合となります。
2人共、SABATERチームに入り、COROMINASと対戦です。これは、レベル3のリーグ戦になります。
SABATERはAMASと同様、金曜日に一緒に練習しているチーム。そうです。つまり、SABATERの監督は、AMASの監督である、セルジ(仮名)なのです。そうして、疲れているKOSHIROお構いなく、再び3-1-2の中盤で先発させます。それでも、本人は疲れた様子など少しも見せず、ボールを追いかけます。自分の得意なポジションで、殆ど自由にプレーをさせてもらっているKOSHIROは、ドリブルとパスを駆使し、存在感を示します。しかし、やはり疲れの影響か、ややプレーに精度を欠きます。相手も、先程のレベル5からレベル3にアップ。フィジカルコンタクトなど、激しさがアップしているだけに、ドリブルも引っ掛けてしまったり、イージーなパスミスやトラップミスを繰り返すシーンも。すると、セルジ監督はYUKIを投入し、3-2-1のシステムに変更し、中盤に厚みを加えます。代わったYUKIも、待ちに待った、しかも唯一の試合とあって、集中力高く臨んでいるようです。2人のサムライ少年が攻撃に入った途端、パスが繋がり、リズムが生まれ出します。すると、KOSHIROのパスに反応したダビッがシュート、これは一旦GKが弾いたものの、それを詰めたKOSHIROが相手GKとディフェンスをかわしてシュート!
ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーール!!!KOSHIRO、またしても貴重な先制ゴールを上げました!!!
その後は一進一退の攻防。ディフェンスの際、YUKIは鋭く当たって行きますが、1~2歳年上の相手に、なかなかパワーで勝てません。一方、KOSHIROはボールを持っている相手へのアプローチに厳しさが足りません。
そうして、1-0で迎えた後半、KOSHIROは3-2-1の右ハーフ、そして、YUKIは右サイドバックでの登場です。慣れないポジションに、どうして良いか、戸惑いを見せるYUKI。守備の意識が高くなり、チャンスと見るや駆け上がるタイミングを計り損ねているようです。
一方、相変わらず、グラウンド内で一番「へい」「へい」という声を響かせるKOSHIRO。中盤での一進一退の攻防で奮闘します。最終ラインに対し、相手と相手の間にスペースを見つけてボールをもらう動き、そして声は合格。しかし、その後のスルーパス、もしくは仕掛けるドリブルに、精度を欠きます。また、浮き球の処理で足を高く上げてファールを取られるなど、もっと頭や体を使ってのガッツあるプレーを見せたい所です。
そんな中、左からのコーナーキック。ファーサイドでヘディングで合わせたのはKOSHIRO。これが見事に決まり、SABATER、2-0とリードを広げます。
試合後に、「俺、あまりヘッドで決めた事無いし」と繰り返し語っていたKOSHIRO。新たな引き出しを開ける事に成功したか!?
その後、一試合目と同様、後方からふわりと前線に送り込むKOSHIROのパスに、味方のFWが決め、終わってみれば3-1の完勝、KOSHIROは3点全てに絡み、結局の所、存在感を十分に見せ付ける事に成功しました。
一方のYUKIは、後半は不慣れなポジションを担当したと言う事もあり、やや消化不良状態で、この日のスクールリーグを終えました。
さて、最大にして最重要テーマである「声」。
この日は、KAITOとTSUBASAは、それまでに比べ、若干出ていましたが、まだまだ満足出来るレベルではありません。もっとも、KAITOは手での“パスくれオーラ”は十分に出せているだけに、声も出るはずなのですが、、、
という訳で、この日の2人はカードは無し。
一方、試合中、誰よりも大きな声で、多くの声を出していたKOSHIRO。前回提示された「カンテラの練習一回お休み」のイエローカードが、無事に取り消されることとなりました。
そして、YUKIは、、、残念ながら、「土曜日の試合、一回お休み」に対し、新たなイエローカードを受ける事になりました。
by Keita Uematsu